こんにちは、はっちです。
今回は難関と言われるエネルギー管理士試験の内容について、実際に過去問を解いてみた上での勉強のポイントを紹介できればと思います。
エネルギー管理士試験どうしよう?という方の後押しになればとも思います。
エネルギー管理士試験の合格率などについてはこちらにまとめています。
結論として、電験取得者はかなりおすすめな試験となっています。特に3種合格したものの、まだ電気について自信が無いという方にはさらにおすすめします。
実際にエネルギー管理士過去問を解いてみて感じること
感想としては。
出題される問題のレベルはかなり高いです。
ですが解きやすい構成になっています。
細かく見ていきたいと思います。
実際の過去問の内容についてはエネルギー管理士過去問(省エネルギーセンターHP)
数学と各課目ごとに見ていきたいと思います。
電験3種とエネルギー管理士試験の大きな違い 微分積分
3種から2種にステップアップする際に一番大事なところでありつまづくところは間違いなく”微分・積分”でしょう。
ここで挫折する人も多いと聞きますし、実際にエネルギー管理士試験の解説動画の質問にもこの点が多く見られます。
3種ではほとんど使用されなかった微分と積分がエネルギー管理士試験では必須になってきます。
それではエネルギー管理士試験の参考書や問題集はどうなっているかというと、おおよそ、解説も微分・積分は分かっているものとして解説されるため、ここで躓く人が多いようです。
私も勉強を離れて10数年経っていたため、この点では苦労しました。
微分は肩の数字を前に出して、積分は分数にして・・・あれ数字増やすんだっけ?
三角関数はサインコサインタンジェントだけど、加法定理とかシンコスコスシンだったっけ?
おぉ、なんとなく覚えてる!
というレベルです。
そんな状態ですので、最初は電気数学から勉強する必要がありました。
そこで最初に勉強したのがこちら。
かなり分かりやすく解説してくれる上に、この後この三角関数を電験でどう使うか?
という点につなげて頂けるのも非常に助かりました。
また、入門書でありながら、相当高いレベルまで解説してくれます。
よく言われるのがこれで勉強すれば電験1種まで使える。ということ。
確かにそうなんです。電験1種には少し足りないところがありますがおおよそ足りてますし、2種には十分かと思います。
これを少しずつでも進めていき、後は勉強している時に辞書的に戻ってくるような使い方をしていました。
ちなみにですが、掲載されている例題はかなり難しく、なんとなく解いていましたが、こちらは2種二次試験が終わる程度までほとんど分かりませんでした(汗)
比較的か?簡単な課目1(エネルギー総合管理及び法規)
課目1は電気も熱も同じ問題が出題される共通科目で、電験で言うと法規+電気と熱の基礎知識を問われます。
エネルギー管理士として電気専門であっても、基本的な熱の知識、熱専門であっても電気的な知識は持っておきましょうという感じです。
電気の基本的な問題の一例を挙げると。
最後に聞かれているのは知識問題ですが、どちらかというとこの問題は、
三相と単相の特徴を覚えておいてね。
という感じがします。
熱分野であれば比熱\(c[kJ/kg・K]\)の問題などが出やすいようです。
また、課目1の気になる法律の部分ですが、
電験の法規課目ほどやらしくありません。
感覚としては非常に素直。(毒されているかもしれませんが(-_-))
多少の知識があれば文章の前後から類推することもでき、該当される選択肢も多くありません。
こちらも例として比較してみます。
電験の場合。
選択肢 ① 取扱者 ② 設置者 ③ 技術者
え?ちょ?同じような意味じゃないの?
みたいな予想のつかないものが多いのですが。
エネルギー管理士試験で同文章を問題として使用した場合。
選択肢 ① 容易に触れる ② 接触する ③ 感電する
この問の場合、[ B ]の次の文章が大きなヒントになります。
とありますので、同じ言葉である②の”接触する”は文章の流れから、否定した内容をそのまま肯定していることになるため、文章としておかしいことが分かります。
そうすると①か③ですが、”接触による危険のおそれが無い場合は”という言葉に注目すると、この言葉は”接触しても大丈夫な場合”が想定されています。
すると、おかしいのが③の感電するという言葉。
感電は接触しなくても発生します。例えばこれが、”近接するおそれが無い場合。”となっていたら③の感電するを選ぶかもしれません。
この文言の場合は接触が前提となっているため、それに対応する①容易に触れる。という文言が入ると予想されます。
このあたりであれば、出題される場所が優しく、まだ予想のつく範囲かなと思います。(実際にエネルギー管理士試験では電気設備基準からは出題されません。多分。)
只の一例です。こんな感じの出題に違いがあるため、わからなくても何とかなる場合があります。
電験はどうにもならねぇな!法規の穴埋めやらしいだろ!(心の声)
理系の基礎である単位をしっかり押さえる。
\(W\)(ワット)を\(J\)(ジュール)に変換するとどうなるか。
\(kg\)原単位として計算するとどうなるか?
など、単位を主にした問題が頻出しています。
これらの問題は非常に基礎的な分野ではあるのですが、中々におろそかになっている場合が多いです自分(;´・ω・)
また課目1の大きな特徴として、国際単位系(SI)については毎年の用に出題されています。
例として
\(J\)は仕事量であり、\(1N\)の力で\(1m\)動かすときの仕事量なので、
\([J]=[N・m]\)
また\(N\)は\(1[kg]\)の物体に\(1[m/s^2]\)を与える力なので
\([N]=[kg・m/s^2]\)
から
\([J]=[kg・m^2/s^2]\)
となります。
またV(ボルト)を基本単位+組立単位であらわすと。
\(V=V \frac{As}{As}\)
\(V=\frac{Ws}{C}\)
\(V=\frac{J}{C}\)
という問題も出題されました。
ちなみにですが、こういう単位の変換はエネルギー管理士ではかなり重要になってきます。
ここまでのやらしいものはありませんが、問題文中に与えられた単位を見ていると何すればいいかわかる場合もあるため、こういうところの力をつけておくことが重要そうです。
個人的にすごく苦手な単元です。
このような問題を解くことで基礎力をUPさせることができるので、応用力が増すのではないでしょうか。(まとめっ)
課目1に限らず、ほかの課目においてもそういう傾向があるのが面白いですね。
ただ、一方で一定の基礎力が無いと門前払いな問題も見受けられます。
自分の弱いところ、あやふやなところを問題を通して理解できることも多いです。
え?あは、ははは・・・(苦手)
理論科目に相当する課目2
課目2は電気の基礎という題目で出題されますが、
基礎・・・ねぇという感じです。
内容としては難しいものが多いのですが、比較的誘導が親切で、三相平衡回路の解き方が
わからなくても、指示通り考えていけばある程度解けるものもあったりします。
ただ、そういう問題は最初に間違えてしまうと連鎖的にやられてしまうため、大きく点数を落とす可能性があることに注意してください。
また、3種であまり出題されない自動制御が出題されます。
微分方程式を解くためのラプラス変換やブロック線図の解き方を勉強しておかないと大きく失点してしまうでしょう。ここも一つの難関です。
また、得意であればいいですが、苦手な人も多いんじゃないかと思う情報処理も出題されます。
情報処理は範囲が広く、中々勉強しにくい分野です。
レベルとしては基本情報処理ぐらいのレベルかと思いますが、あまり出題傾向が見えません。
逆に言えば、今まで出題されていない範囲は押さえておいた方が良いと言えるかもしれません。
電力と機械科目に相当する課目3
この辺りは電験3種でどれぐらい理解しているかを図る場所になりそうです。
内容としては省エネルギーに特化した問題が出題されますが、電験3種で学んだ内容を実務で適用しようとするとこうなるかな。という感じです。
この辺りが難易度としていわゆる2.5種という言葉が合いそうな場所です。
電力範囲においては実際に送電効率を上げる問題であったり、変圧器の並行運転、損失など。機械範囲では電動機の原理、損失、インバータの周波数など、省エネにつながる部分が多く出題されます。
これらの問題は基本的に誘導に従って解く問題が多いのですが、3種の段階で、
どうしてこうなるのか?
この試験を実施する意味は?
など、理論的な部分や、実施する理由を勉強しているかどうかで、大きく勉強の必要量が分かれそうです。
ここが一番簡単という人もいれば、難しくて何が書いてあるかわからない。という人もいそうな範囲です。
もしかしてここも苦労した・・・?
う、うーん。大丈夫だったかな。結構2種で勉強したしね。
機械科目+αの課目4
電験の中でも難易度が高いと言われている機械(個人的な主観に基づいております。)を中心とした科目です。
出題範囲は電動機やインバータ、エレベータ動力などの電力応用分野(モーメントや運動方程式など)に加えて、選択問題である、電熱、電気化学、照明、空気調和の4つの中から2科目選ぶ形になります。
元々わかりにくい機械分野中心な上に3種レベルを超えた問題が出題されることもあり、エネルギー管理士電気分野最大の壁と言われています。(個人的な・・・)
さらに電験でも選択分野になることが多い、電熱、電気化学、照明は勉強がおろそかになりやすい範囲でもあります。(空気調和については仕事で触れていなければ、初めての分野になるためおすすめしません。)
集中して勉強する必要があるかと思われます。
ただ、思ったより課目4は定型な問題が出題されることが多い印象です。
そういう問題が出たらラッキーと思ってしっかり理解しておきます。
かなりの危険地帯。
全体を通して言えるエネルギー管理士の試験問題
エネルギー管理士の試験問題は最初はこんなに難しいのか!と驚くかもしれませんが、問題は案外親切だったりします。
親切な理由としては、ちゃんと答えに誘導してくれることや、難度の高い導出過程がすっ飛ばされて、それらが条件として与えられていたりする問題が多いからです。
またその反面、問題文をしっかり読み、理解しないとその親切さに気が付かず得点に結びつきません。
すごく難しそうなことが書いてあっても、何について問われているのかなど、順を追って問題文を読むことで正答に近づきやすいのではないかと思います。
難易度と配点に注意!
近年の問題にその傾向が見られますが、大問の最後の方の問題が異様に難しく時間がかかり、
え?これ解くの?
と思わせるようなものも出題されます。
エネルギー管理士試験の一番の罠だと思っています。
それでいて、知っていれば解ける知識問題と同様な配点だったりするので、時間配分的には後回しの方が安心できそうな問題もありました。
記述式の問題ではないため、途中経過など考慮されません。
計算ミス一発で0点。
そのリスクを考えると、しっかり一問最後まで完答するよりも、しっかり取れるところを取っておく。
ということが重要そうです。
ただ・・・
そんな問題が並ぶ一方で、電験3種で出題されるレベルの問題で大問を完答できる問題もあったりで、出題レベルのちぐはぐ感が拭えません。
そういう問題を落とさずに得点につなげていきたいところです。
エネルギー管理士として知っておきたい省エネ問題が頻出問題
難しい難しいと言いつつも、頻出問題が良く出るエネルギー管理士試験。
その中身は大きな省エネルギー政策に寄与するものばかり。
エネルギー管理士になってその仕事に従事する場合は、この省エネ策はしっかりやっておきなさいよ。
そんなメッセージが込められているような問題が頻出問題として出題されています。
実際に現場に適用できるかは状況によると思いますが、ほぉー、はぁー、ふーん。となる問題が良く出ています。
そういう意味では非常に面白い試験。
電験3種の勉強をした後、エネルギー管理士の勉強をすることを勧められるのには、このような、机上での勉強を実際の実務につながり理解を深めることができる。
という点が非常に面白いことが一番だと思っています。
難しい箇所も多い試験ですが、一貫してエネルギーに関する問題ばかりです。
余裕があれば、熱分野でどんな問題が出題されているかを見るのも楽しいかもしれません。
それではこのへんで。次回は参考書選びの目安について紹介できればと思いっています。
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