技術士とはどんな資格?5大国家資格の一角を担う技術士

技術士一次・二次試験

”技術士”と聞いてもピンとこない人がほとんどではないかと思います。

え、技術って。。。範囲広すぎない?手作業とかに精通している人?

というようななんだかよくわからない印象を受けるかもしれません。

今回はこの技術士と、弁護士、税理士、医師と何が違うのかを見ていき、技術士が含まれるといわれる5大国家資格についてみていきたいと思います。

技術士とはどんな資格?

技術士は次のように法律で定められています。

科学技術の向上と国民経済の発展に資することを目的として定められた資格。

ざっくりしすぎてわかりませんね。

技術といっても幅が非常に広いため、何をどうするのかというのは非常に分かりにくくなっています。それ故に幅の広い表現にとどまってしまいますが、

国が認める高い技術力を持った技術者。

ということを証明してもらうための資格という位置づけになります。

技術士資格を持っているとできること

そもそも技術士資格を持っていると何ができるの?

ということなのですが、

技術士と名乗って仕事をすることができる。

という非常に素晴らしいことができます。

え?それ何の役に立つの?

。。。。。(汗)

弁護士資格を持つ人がが弁護士ですと名乗れるように、技術士も同様に技術士資格を持つことで技術士と名乗ることができます。それ以外の人がその資格を名乗ると刑事罰に該当する可能性があります。

ただ、弁護士のように知名度が高くないため、技術士です!と言われても、

そもそも知らない。

ということになってしまいます。(残念)

 

ただ、有名な人気ドラマ半沢直樹シーズン2で出てくる電脳電設という会社の概要には技術士が20名とトップに表示されています。

恐らくモデルとなる企業があると思うのですが、会社概要においても”技術士が何人在籍しているか。”ということは技術力の指標として使われるということにもなります。

日立や東芝など、大企業の中には技術士会が設立されている会社も多いようです。

本会に連絡のあった企業内・公務員技術士会、出身大学別技術士会の一覧|総務委員会|公益社団法人 日本技術士会
2022年7月13日現在

技術士という資格は試験は21部門によって分かれています。

それぞれの専門分野で受験をし、合格することで技術士(〇〇部門)と名乗ることができます。

一番受験者数の多い建設部門では、公共工事の受注要件に監理技術者を配置する必要がありますが、その監理技術者として必要な要件に技術士が含まれることが多くあります。

大型の工事になれば、その分工事内容も多岐にわたるため、広い視点で技術力の高い人を監理者として配置することを求めているようです。

これら多部門に渡る技術士ですが、所管省庁は文部科学省であり、技術士法によって定められています。

技術士が含まれるという5大国家資格とは

5大国家資格とは、弁護士、弁理士、医師、公認会計士、技術士のことのようです。

中には公認会計士が不動産鑑定士に入れ替わることもあるようですが、各分野の最高峰資格を5つ取り出したような気がします。

法曹、産業、医療、会計、技術

5つの分野の選び方によるような気がします。

さらっと5つの資格について見ていきたいと思います。

弁護士(司法試験)

弁護士は言わずと知れた、日本の最難関国家資格である司法試験を突破した人がなることができる資格です。

また、弁護士に限らず、裁判官、検察官と司法の場で活躍できる資格を指します。

その弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする。と弁護士法で定められています。

所管省庁は法務省です。

弁理士(弁理士試験)

弁理士は産業財産権にかかわるすべての手続きを代理することができる資格です。

ざっくりと特許関連の知的財産を扱うことができる資格としてもいいかもしれません。

様々な技術の価値を把握し取り扱う必要があるため、法律に熟知している必要がありますが、扱う技術が理系分野であることが多いため、法律を主とした試験でありながら理系出身者が多い試験でもあります。

理系の中では最高難易度と言われる理由はこのあたりにもあるかもしれません。

所管省庁は特許庁(経済産業省)で、弁理士法によって定められています。

医師(医師国家試験)

医師免許を取得できる医師の国家資格です。

その合格率は90%前後と言われていますが、まず、医学部に入り、医学の正規の課程を修めて卒業すること、が前提とされており、一連の学業を修めた者にしか受験できません。

結果的として、

国家試験にほぼ合格できる知識を備えている人しか受験できない。

というようなものです。

所管省庁は厚生労働省であり、医師法によって定められています。

公認会計士(公認会計士試験)

公認会計士は企業などに対して適正な会計処理が為されているか、ということを監査できる資格です。

似たようなところで同じ会計を扱う税理士資格もありますが、公認会計士の方が浅く広い勉強範囲が必要で、税理士は得意分野に特化した税のプロフェッショナルというイメージです。

所管省庁は金融庁(財務省)になり、公認会計士法で定められています。

 

技術士については先程触れたとおり文部科学省の所管です。

ちなみに、不動産鑑定士は国土交通省の所管になります。

国家資格難易度ランキング(参考)

この5大国家資格はそれぞれの分野によって最高峰の資格と位置付けられており、一応の偏差値ランキングとしては、

司法試験(弁護士) 偏差値77

弁理士 偏差値75

医師 偏差値74

公認会計士 偏差値77

技術士 偏差値70

不動産鑑定士 偏差値74

となっており、どの資格も相当高いレベルでの学力が求められることになります。

これらは一概に比較することはできませんので参考程度でお願いいたします。

国家資格難易度ランキング(参考)

国家資格難易度ランキング一覧 - 資格の取り方
国家資格の資格難易度に偏差値をつけて独自にランキングしました。より明確な資格の難易度がわかります。 - 資格の取り方 - 難易度ランキング一覧やおすすめ取得・日程など

ただ、これらの資格は通常、取得するだけではまだまだひよっこです。

若干偏差値の低い技術士がここに入っていることは、技術士は技術士にふさわしい実務経験を問われること。また、その道の専門家であることを取得段階で認められているという基準が偏差値という枠に当てはまらないため。かと思っています。

技術士にふさわしい実務経験が最長7年必要ということが、他の資格との違いだと考えます。

資格の種類 業務独占と名称独占資格

これらの資格はそれぞれ業務独占資格名称独占資格と分けられており、業務独占資格はその業務を行うために必要な資格であり、弁護士として活動、医師として診察を行う際には必ずその資格が必要なものになり、所持していない状態でこれらの業務をすることは刑事罰の対象となります。

この6つの中では弁護士、弁理士、医師、公認会計士、不動産鑑定士がそれにあたります。

一方、名称独占業務は、その名称を使用して仕事を行う際には、その資格が必要ということになり、こちらも、資格を有していない状態でその名称を使用すると刑事罰の対象となります。

6つの中では技術士がそれに該当し、それ以外では、保健師、栄養士などがそれにあたります。

ただ、どちらと区分するよりも、業務独占資格は名称独占資格でもありますので、まとめて知っておくぐらいかなと思います。

士と師の違い

また先程の5つの資格を見ると、技術士の”士”と医師の”師”の違いがあるかと思います。

もう少し見ると”司”も比較対象かもしれません。

まず、士ですが、技術士の他に弁護士、司法書士、税理士、栄養士、建築士などに用いられます。

続く師ですが、医師、看護師、薬剤師、美容師、牧師でしょうか。

士と師の意味は次のようになっています。

士:学問・道徳などを身に備えた尊敬に値する人物
師:学問・技芸を享受する人、師匠、先生
※goo辞書より抜粋

また、士は優れた人を指し、師は教え導くものという意味があるようです。

ただ、現代においては士も、師もあまり違いは無さそうです。

どちらも優れた人であり、教え導く人でもあると思います。

唯一考えられるものとして、医療系は師が使われていることが多いみたいですね。

師というのは軍団を表す意味もありますので、医師、薬剤師、看護師と師団を作って医療にあたる。

という意味もあるのかもしれません。

司はお役人さんという雰囲気がありますが、役目を受け持つものとしての意味があるそうです。

児童福祉司、保護司、行司、などがそれにあたります。

国際的に通用する技術士という資格

こう見ていくと、技術士という資格が一体何に使えるのか?ということになってしまいますが、

主には肩書という使い方が一番かなと思います。

技術士はその資格の性質上、学生で持っている人はほぼいません。

社会経験を積み、技術力を高めてきた人が取得できる資格です。

そのため、就職に有利、という意味合いはあまりなく、

確かな力を持つ技術者としてクライアントから信頼される。

という使い方になるかなと思います。

技術力という曖昧な力の指標に対して、優れた能力を持つものに権威を与える。

仰々しくなってしまいましたが、技術士は博士号と同等に扱われるということも踏まえてそういうことかなと思います。

そして国のお墨付きということで、そのまま国際的にも通じるものがあり、APECエンジニアやIPEA国際エンジニアとして登録し仕事をすることもできます。

技術士は今後知名度が上がってくるだろう

技術にも多くの種類があり、仕事にもたくさんの種類があります。

その力を持つ人はそれこそ千差万別。

実力がある人もいればそうでない人も同じ技術者と名乗ることができます。

近年SDGsなどの流行により、多方面から技術者を求められる傾向にあり、その信頼というのは何らかの見える形で表す必要があります。また、国際的にも広く活躍するためにも、技術士という国のバックアップのある資格は大きく信頼の得られる資格であると思います。

地球温暖化対策など、一分野からの視点では対策が不十分である問題に対しては、様々な分野からのアプローチが必要かもしれません。

高い技術力をもった技術士としてそれら広い視点での解決方法を探るというのも、技術士としての大きな魅力であるかなと思います。

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