数ある試験の中でも”難しい”に分類されるエネルギー管理士試験。
仕事をしていると良く聞くんだけど、一体どういう試験で、どういう事ができるようになる資格なのか。
自分が受験した時に気になったこととしてエネルギー管理士でも調べてみるか、ということで過去の合格率と、電気、熱それぞれの2021年最新の合格率などを調べてみました。

どうしようかな。と迷っている方の参考になればと思います。
エネルギー管理士が必要な人
エネルギー管理士資格は、昨今の省エネルギー推進に係る重要なポジションの人を会社に配置しなさい。
ということで法で設置が定められています。(とってもざっくり)
もう少し詳しくすると。(汗)
製造業、鉱業、電気や熱の供給事業者など主にエネルギーを多く使う(発生させる)場所で必要とされ、一定以上エネルギーを消費する施設においても必要とされます。
今後も省エネルギーは世界的問題として重要な位置づけであり、需要が高まってくるのは間違いありませんので、持っておいて損は無い資格です。
企業としても、エネルギー管理士を採用することで、企業活動にかかる光熱費が削減できる可能性がありますので、省エネルギーのプロフェッショナルとしても需要がありそうです。
エネルギー管理士って難しいの?
エネルギー管理士の試験は正直なところ難しい試験です。
難易度についてはそれこそ電験3種よりも難しい問題が出題されます。ですが、取得するための難易度としては合格率8~10%の電験3種ほどでは無いかもしれません。
エネルギー管理士は熱分野と電気分野のどちらかで取得が可能です。
冷凍機関連の資格を持っている方、ボイラー技士の方や、大学で熱力学や、流体力学、物性などを専攻していたのであれば熱分野に関連する内容が多いのでそちらで受験することをお勧めします。
また、電験3種、電気工事士など、電気の資格を持っていたり大学を電気専攻で卒業している方は電気分野での受験をした方が良いかもしれません。
ただしどちらも簡単ではありません。
熱に於いても、電気に於いても、科目合格制度を採用していることから、多年度での合格が想定されているように思います。
エネルギー管理士の難易度から見る合格率。
エネルギー管理士の全体の受験者数に対する合格者数をグラフにしてみます。
2020年、21年はコロナの影響か受験者数が激減しています。一方で合格者数はそれほど変わっていません。おそらく、合格する見込みの薄い方、記念受験の方が申込みはしたけど、感染を恐れて受験しなかった結果ではないかと思います。
その他の年を見てみると、おおよそ10,000人の受験者に対して、3,000人ほど合格しています。全体的に見てもおおよそ合格率は平均30%といったところでしょうか。
3人に一人。
と考えるとそれほど難しくないと考えてしまうかもしれません。
熱分野と電気分野に難易度の差はあるの?
エネルギー管理士試験は熱分野と電気分野に分かれており、どちらで取得してもエネルギー管理士と名乗ることができます。それではそれぞれの分野に難易度の違いはあるのでしょうか。
それぞれ4科目を60%以上の正答で合格するのですが、当然内容が違います。
お互い共通科目が1つありますが、残りの3科目はそれぞれの熱、電気の分野から問題が出題されます。
すると気になるのが難易度差。
その差は合格率にあらわれており、それぞれの熱・電気の合格率は次のようになっています。
エネルギー管理士熱分野合格率
年によって上下動はありますが平均すると熱分野は31%程度の合格率のようです。
エネルギー管理士電気分野合格率
こちらも動きがありますが、平均すると電気分野の合格率は23%程度です。
平成25年以降公式な発表が無いため、電子の海を巡った結果ですが、近年でも熱分野のほうが合格率が高いことが分かります。
中には2倍ほど合格率が違うこともあるようです。
例:2019年合格率:熱約40%、電気約20%
近年の合格率は以下のようになっています。(管理人調べ)
2020年合格率:熱 約37.8%、電気 約35.6%
2021年合格率:熱 約31.1%、電気 約33.5%
全体の傾向として熱分野での合格者が多くなっていますが、ここ2年はその差が近づいています。
電気分野でも20%も合格するなら簡単なのでは?電験3種の合格率は8%程度。
電気分野の難関資格と言われる電験3種。
合格率は2年の科目合格猶予措置を含めても8~10%とかなり低くなっています。
それに対してエネルギー管理士は同様に科目合格猶予措置付きで20%の合格率ならそれほど難しくなさそうと思うかもしれません。
ですが実際に出題される問題はかなり難しく、よく言われるのがエネルギー管理士は電験2.5種だということ。
電験2種の試験ほど難しくないが、3種試験よりは難しい。そんな位置づけのようです。
ただ一方で、そう言われるぐらい電験とエネルギー管理士の電気分野は出題範囲が近いものがあります。
電験で勉強した範囲が出題されるのであればかなり有利ですよね。
エネルギー管理士(電気)の試験科目
エネルギー管理士試験で求められる試験は、
熱・電気共通科目である課目1(法律とエネルギー情勢、熱・電気基礎) 80分
電気の基礎 課目2(電験では理論+機械(自動制御と情報)) 80分
電気設備及び機器 課目3(電験では電力+機械(変圧器・電動機など)) 110分
電力応用 課目4(電験では機械(電動機応用+電熱・電気化学・照明)+空気調和) 110分
課目1については、エネルギーの使用の合理化に関する法律(省エネ法)についてと、電気、熱分野の基礎的な問題が出題されます。課目1は新たに勉強が必要です。
3種合格の力があれば、エネルギー管理士の課目2,3程度は比較的少ない勉強で取れるかもしれません。
課目4は難関と言われている電力応用。3種より問題の難易度が高く、そして2種一次試験で出題されにくい、送風、電熱、電気化学、照明、空気調和での計算問題が多く出題されます。
4課目中3課目が電験と似たような範囲であることからこのように言われていますが、2.5種であることは忘れてはいけません。
中には2種の二次試験で出題されそうな問題も出題されるため、難易度は非常に高いと言わざるを得ません。
3種より難しいのに3種より合格率が高いのはおかしい?

ですよね。(コラ)
逆転現象が起きている理由として、電験3種とエネルギー管理士の知名度の違いがあります。
電気の世界ではいつか到達したいと思う電験3種。
応募資格でもよく見かけるため知名度も高いのですが、エネルギー管理士はまだ歴史も浅く、知名度もそれほど高くありません。
電気の世界でのし上がっていくためには電験3種は必要!と会社から斡旋されることはあっても、エネルギー管理士を勧められることは少ないでしょう。
一方で、熱分野においては、コレさえ所得しておけば大丈夫!という資格として挙げられるかもしれません。電験3種という一つの大きな壁がその先のエネルギー管理士を見えにくくしているのではないでしょうか。
また電験2.5種と言われるように、電験3種を取ってから。または並行して取ろう。
そう思う人も多いのでしょう。
3種クラスの実力の持ち主が受験して20%程度の合格率。
と考えると、かなりの難易度に跳ね上がることがわかります。

エネルギー管理士免状取得のための実務経験
エネルギー管理士を受験するために必要な条件はありません。
ただし、エネルギー管理士の免状をもらうためには、1年間の実務経験が必要です。
その実務経験とは。
今見ているあなたが、電気主任技術者として選任されていたり、ビル管理業として働いているのであれば実務経験としては問題無いでしょう。
エネルギーに関する仕事であれば良さそうですが、設計業務や工事監理業務は実務経験に含まれないようです。

エネルギー管理士を講習で取る方法もある。
エネルギー管理士は試験ではなく、講習を受講することでも取得することができます。
ただし、講習の最後には効果測定(試験)が待っており、そこで一定の成績を収めないと免状はもらえないようです。

噂では50%の合格率とか。
研修費用70,000円払って、一週間かけて講習を受けて50%の合格率とか、かなり厳しい感じがします。
やはり簡単には取得できるものではなさそうです。
まとめ
最後にまとめてみます。
・合格率だけ見ていると痛い目をみるぐらい難しい。
・電験3種の勉強と並行もしくは合格後に受験するのが効率が良い。
・受験に必要な経験は無いが免状取得には実務経験が必要。
・講習で取得することもできる。(要実務経験)
調べてみるとやはりその難易度からも、エネルギー管理士取得には一筋縄では行かないということがわかります。また、出題される問題が色々とやらしかったりします。
次回は実際に問題を解いてみた難易度などを紹介できればと思っています。

それでは。

コメント
研修も最終日に試験があり、科目合格制です。次年度に再受験となりますが、
3回目はないという噂です。
会社で人選する場合、3種合格・科目合格している方が選ばれます。
費用がかかることもあることから、確実に合格できる方ということになります。
コメントありがとうございます。
科目合格精度もあるんですね。その際、再受験は研修から受け直す必要があるとすれば相当鬼畜ですね。金銭的に。
人選は大事そうですね。
時間も相当かかることが仕事面でも迷惑かけてしまいそうです。
こちらには初めて書き込みします。
あまりネット上に情報がない、エネ管を熱で受ける場合について、コメントさせてください。
私は、エネ管受検当時、公害防止管理者大気1種、電験3種、電工1種、1級ボイラー、2種冷凍機を持っていました。
電験3種はエネ管受検の前年に受けていましたが、電気と熱の両方の問題を比較した時、明らかに熱の方が簡単に見えたので、熱で受けました。
以外にに範囲がかぶっていたのが公害防止管理者の大気です。大気の公害防止策はエネ管熱の論説でよく出るので、初見でもだいぶ解ける問題がありました。おかげでその年に熱で合格しました。
その数年後に電験2種を受けたので、電気で受けとけばよかったかなーとはあとで少し思いましたが。
熱・電気両方に関する素養がある場合は、エネ管を受かることにのみ注目すれば、熱の方がお得な気はします。
まとめると
・1ボ、2冷、公害大気はエネ管熱と親和性が高い(特に公害大気)
・熱と電気では熱の方が簡単
・電験2種に挑戦する場合はエネ管電気を経由した方が良い。
私の主観ですが。。
コメントありがとうございます。
両方の分野に長けた方の意見参考になります。
公害防止管理者は聞いたことがありましたが、どのような試験か知りませんでした。
結構似ているんですね。
電気分野は3種、エネ管、2種と行くとスムーズにレベルアップできる気がします。
3種とエネ管という人なら熱もありですね。