(1) ロープトラクション式エレベータを図1に示す加速度のパターンで運転する場合の走行時間や駆動力について検討する。
図1では、時間t=0[s]t=0[s] でかごが1階に停止しており、これを基準としたかごの上昇距離を
x[m]x[m]、速度をv=dxdt[m/s]v=dxdt[m/s] 、加速度をα=dvdt[m/s2]α=dvdt[m/s2]とする。
また、乗り心地や安全性の観点から、加速度の範囲を−1[m/s2]≤t≤1[m/s2]−1[m/s2]≤t≤1[m/s2]、
加速度の変化率の範囲を−1[m/s3]≤t≤1[m/s3]−1[m/s3]≤t≤1[m/s3]に制限し、加速度を上限値及び下限値に維持する時間をそれぞれTa[s]Ta[s]、加速度を零として速度を最大値vm[m/s]vm[m/s]に維持する時間をTb[s]Tb[s]とする。
1) 0≤t≤t30≤t≤t3 の期間で加速度を積分すると、t=t3[s]t=t3[s]での速度となることから、次式が成り立つ。
vm=Ta+1[m/s]・・・①
また、停止するまでの上昇距離xmは、0≤t≤t7の期間で速度を積分することにより、次式で求められる。
xm=1×vm[m]・・・②
式①及び式②より、Ta,Tb (いずれも正)により、速度及び上昇距離を調整できることがわかる。なおvmは定格速度vN[m/s]に制限され、上昇距離が小さい場合には、vN以下となる場合がある。一例として 15 階建のマンションに設置されている定格速度 2[m/s](分速 120 m)の9人乗りエレベータを考える。移動距離が1階当たり3mとすると、1階から3階への上昇距離は6mであり、Ta=1[s]、Tb=0[s]となることから、走行時間 t=4+2Ta+Tb[s] は6sと計算される。
同様に、1階から15階に移動する場合は、上昇距離は 42m であり、走行時間は2[s]と計算される。
< 1 及び 2の解答群 >
ア22 イ24 ウ25 エTa+Tb+1 オTa+Tb+2 カTa+Tb+4
2) このエレベータは、最大積載質量600kg、かごの質量が1000kg、つり合いおもりの質量が 1300kgである。乗車率をh(0≤h≤1)とすると、不平衡質量は (600h–300)[kg]、可動部全体の質量は3[kg]である。なお、簡略化のため、ロープの質量や走行抵抗などは無視できるものとする。
図1より、t1≤t≤t2では加速度が 1m/s2であり、綱車から可動部に供給される駆動力F[N] を求めると、h=1の場合には F=4[kN] となる。また、t5≤t≤t6では加速度が −1m/s2 であり、h=0 の場合には F=5[kN]となる。なお、重力の加速度を 9.8m/s2とする。
< 3 ~ 5の解答群 >
ア−5.30 イ−5.27 ウ−5.24 エ 5.84 オ 5.87 カ5.90
キ(600h+2300) ケ(600h+2900)ク(600h+2600)
コメント