電験1種一次試験を解いてみた感想と予想合格ライン

電気主任技術者試験(電験)

令和5年度(2023年)電験1種一次試験の問題を解いてみました。

昨年、ドキドキしながら受験した一次試験から早1年経ったんだなぁと思います。

理論の問1,2が解けなくて心がぽっきり折れそうになりながらの試験でしたので、いと趣深くおりまする(~_~;)何急に。

焦りと緊張の令和4年度電験1種受験体験と問題感想 一次試験編
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ということで、頭のリハビリも兼ねて2種アベンジャーズに引き続き、1種の問題も解いてみました。

さぁどうでしょうか。自分としても実力が残っているかドキドキです。

掲載の問題の詳細は試験センターから確認することができます。
https://www.shiken.or.jp/

  1. 電験1種 一次試験最難関科目 理論
    1. A問題 問1 コンデンサの電荷とエネルギー 難易度 ☆☆☆★★
    2. 問2 電界と磁界のポインティングベクトル ☆☆★★★
    3. 問3 直列回路問題 ☆☆☆★★
    4. 問4 RL回路の過渡現象 ☆☆☆☆★
    5. B問題 問5 不平衡三相交流回路 難易度 ☆☆★★★
    6. 問6 半導体の熱電効果 ☆☆★★★
    7. 問7 演算増幅器を用いたフィルタ ☆☆★★★
  2. 電験1種 一次試験 電力
    1. 問1 水車の比速度に関する問題 ☆☆☆★★
    2. 問2 沸騰水、加圧水型原子炉の問題 ☆☆☆★★
    3. 問3 超高圧系統のサージ問題 ☆★★★★
    4. 問4 スマートメーターに関する問題 ☆☆★★★
    5. 問5 変電所の公害に関する問題 ☆★★★★
    6. 問6 電線のたるみに関する問題 ☆☆★★★
  3. 電験1種 一次試験 機械
    1. 問1 突極形同期リアクタンスについて ☆★★★★
    2. 問2 変圧器の冷却について ☆☆☆★★
    3. 問3 サイリスタを用いた三相整流回路 ☆☆★★★
    4. 問4 照明と照度 ☆☆☆☆★
    5. B問題 問5 誘導機の二次励磁方式 ☆★★★★
    6. 問6 亜鉛の精錬 ☆☆☆★★
    7. 問7 生産ラインの自動化技術 ☆☆☆★★
  4. 電験1種 一次試験 法規 難易度 ☆☆☆★★
  5. 令和5年度 電験1種 一次試験のまとめ

電験1種 一次試験最難関科目 理論

1種試験でも一次試験で一番合格率の低い科目は”理論”です。

ここに頭の回転が一番いい時間になるように持ってくるのが、自分としてはいいかなと思っているぐらいです。

A問題 問1 コンデンサの電荷とエネルギー 難易度 ☆☆☆★★

また初見殺しがくるか?と思っていましたが、今回は比較的入りやすい問題が出題されました。

仮想変位法という名称にはぎょっとするかもしれないですね。

こういう問題はプラスマイナスが厄介なため間違えやすいのですが、誘導が丁寧にされており、そこに沿って行けば点数がもらえます。

問2 電界と磁界のポインティングベクトル ☆☆★★★

かなり数学的な問題です。こういうのは中々とらえにくい問題ですね。(苦手)

磁界、電界と誘電率、透磁率、伝導率について、ゆっくり整理していけば多少は点数が取れるのではないでしょうか。

問3 直列回路問題 ☆☆☆★★

比較的簡単・・・なはずですが、ここも問1、問2の出来によって左右されやすい問題です。

回路の目的や問題文の誘導など、気になるところが多く、つまづきやすい問題かと思います。

なぜか分かりませんが、昨年の問3も比較的簡単でしたが、ポカミスき気が付かず落としてしまいました。

今回も時間を気にする本番だったら解けなかったかもしれません。

問4 RL回路の過渡現象 ☆☆☆☆★

電験2種に続いて1種でも出題された過渡現象についてですが、どちらも難易度は低く解きやすくなっています。

捻りもなく落ち着いて解くことができれば得点源になりそうです。

B問題 問5 不平衡三相交流回路 難易度 ☆☆★★★

今年は20点問題で来ました、三相不平衡交流回路。(R4年度は10点のA問題でした)

難易度としては普通ではありますが、1種として出題されてきた三相不平衡回路の過去問からすると簡単な部類です。

ですが、解くのに時間がかかります。手順を身に着けて、ゴールを見据えながら式を組み立てていけるようになるには、演習量が必要です。

※ この2電力計法は今年よく出ますね。1種、3種、エネ管でも出題されています。

問6 半導体の熱電効果 ☆☆★★★

選択問題の問6、7です。

問6は問題文は長く厄介に見えますが、こちらの半導体を選んだ方が楽かと思われます。

ややこしそうに見える半導体の電子分野ですが、誘導が丁寧にされており、代入を繰り返すことで(4)までは解けてしまいます。

(5)は難所ですが、答えを選ぶだけなら類推することもできます。

問7 演算増幅器を用いたフィルタ ☆☆★★★

問6と比較して、ぱっと見こちらの方が易しそうに見えるのが辛い。

問題を解いていくと色々と計算が大変なうえに、後の問題を見据えていないと後戻りする必要が出てくるかもしれません。

じっくり見据えて解けば問題ないのですが、試験時間がある中でこれは厳しいかもしれません。

 

理論はぶれないですね・・・難易度なども昨年と同じぐらいのレベルかと思います。

予想合格ラインは48点(/80点)です。

電験1種 一次試験 電力

電力科目は1種を受験するような人にとっては得意な科目なのではないでしょうか。

ここは落としたくありませんが、今年の問題はどうなのか。見ていきたいと思います。

問1 水車の比速度に関する問題 ☆☆☆★★

比速度がどういうものか分かるような問題です。

誘導に従って順番に解いていけばさほど難しくありません。

比例、反比例を冷静に捉えていくことが大事です。

問2 沸騰水、加圧水型原子炉の問題 ☆☆☆★★

原子力発電に関する問題ですが、比較的優しい範囲から出題されました。

中性子の振る舞いについては、早いと反応せず、遅いと反応する。のように若干覚えにくい箇所です。

原発の再稼働も進み、今後は原子力の問題も頻出になるのかもしれません。

問3 超高圧系統のサージ問題 ☆★★★★

無負荷送電線に送電する場合のサージ、変圧器などの遅相電流を遮断する時のサージなど二次試験の論説で出てきそうな範囲です。

倍率を入れるところもあり、答えを絞りきることも難しいです。

問4 スマートメーターに関する問題 ☆☆★★★

太陽光発電設備の普及に伴い、スマートメータも普及してきましたが、最近のメータの動向についての問題です。

知っていれば楽なのでしょうけれども、、、我が家はまだ電力量計2つなんですよね。。。これだけ進歩しているなんて知らなかった。

問5 変電所の公害に関する問題 ☆★★★★

知っていれば選択肢を選べそうですが、知らなければ理論の知識などを活かして選ぶ必要があります。

中々覚えにくい範囲です。電磁力、電磁吸引力など似たような語句も多いため冷静に考える必要があります。

20点問題なのでボリュームも十分。ここは2/3取っておきたいところ。

問6 電線のたるみに関する問題 ☆☆★★★

電線のたるみに関する問題ですが、出題の仕方が1種らしい気がします。

最終形となる公式を覚えていれば、そこから類推しながら埋めていくこともできます。

たるみに関する問題は3種から頻出ですので、解けた人も多いのではないでしょうか。

 

全体的に標準的な問題が多いのですが、知らない人には辛い問題が多い。

このあたりは問題の運に寄ってしまうのですが、自分としては苦手な範囲ばかりでした。(点数は7割ほど)

予想合格ラインは46~48点です。

電験1種 一次試験 機械

3種受験時はあれだけ苦手だった機械科目も、ここまでくると得点しやすい科目になっているのではないでしょうか。不思議なものですね。

問1 突極形同期リアクタンスについて ☆★★★★

突極形同期機のリアクタンスについての問題ですが、リアクタンスを良く理解している必要があります。

過去問にも良く出題されますが、今回の問題は比較的理解がしやすいのではないでしょうか。

問2 変圧器の冷却について ☆☆☆★★

変圧器の構造を知っていれば比較的解きやすい問題です。

やはり変電所などではかなり大型の変圧器を使用するため、規模としてはかなり大きいものが対象となっています。

コンサベータのついた変圧器はまだ見たことが無いんですよね。

問3 サイリスタを用いた三相整流回路 ☆☆★★★

2種でも出題されました三相整流回路。誘導性負荷による重なりについて理解しておく必要があります。

パワーエレクトロニクス分野は二次試験で避ける人が多いのか、一次試験ではほぼ必須になっています。

ただ、難易度は比較的解きやすい部類かと思います。

問4 照明と照度 ☆☆☆☆★

天井から吊るされた球状光源に関する問題です。

輝度が出てくる分、定義をしっかり押さえておく必要がありますが、問題は易しいです。

エネルギー管理士試験を通過してきている人には問題ないかと思います。

B問題 問5 誘導機の二次励磁方式 ☆★★★★

インバータを用いた二次励磁方式に関する問題ですが、内容は二次試験レベルです。

難しい。

20点問題なので、ボリュームもあり、中々大変な問題ですが、落ち着いて基本知識を持って取り組めば、比較的点数は取りやすいのではないかと思います。

問6 亜鉛の精錬 ☆☆☆★★

電気化学からの出題です。

一般的な電気分解の知識で解けるため、比較的点数はとりやすく、計算問題もさほど難しくありません。

こちらもエネルギー管理士試験で勉強していれば解きやすい問題かと思います。

問7 生産ラインの自動化技術 ☆☆☆★★

CADや3Dプリンタ、NC旋盤など工場などの生産現場からの出題です。

経験したことのある方なら解きやすい問題かと思いますが、苦戦した受験生も多いのでは。

内容はそれほど難しくなさそうですので、電気化学が不得意な人はこちらを選択しても良さそうです。

 

問5を除いて、比較的解きやすい問題が多かったのではないかと思います。

ただ、その問5が20点問題であり、さらに難しい。

ここで半分程度取れていれば合格ラインがかなり近くなるのではないかと思います。

予想合格ラインは48点です。

電験1種 一次試験 法規 難易度 ☆☆☆★★

法規の問題は今年も比較的現場に近いところからの出題が多く、A問題は高圧や低圧から出題。

B問題は、発電所の監視方式と広域的な視点から電力系統を支える問題でした。

A問題については、2種、3種で出題されても良いぐらいの問題で、比較的余裕をもって解けたのではないでしょうか。

B問題の発電所の監視方式は電験の試験では頻出箇所で、また電力系統の安定供給に関する視点も1種ならではの分野であり、勉強しやすい範囲かと思います。

穴抜きの箇所が特徴的なところが多く、点数がとりやすかったのではないかと思います。

合格予想ラインは48点(/80点)です。

令和5年度 電験1種 一次試験のまとめ

全体を解いてみた感想として、昨年度などと傾向的には変わりは無さそうです。

難しい問題は難しく、また1種らしい問題も多く見られ、決して簡単ではありませんが、比較的誘導が多くみられる印象でした。

ここのところ一次試験の合格率は高いまま推移しています。そろそろドカンとくるかなと思ったりするのですが、二次試験の合格率は依然として低い(R4は高め)です。

入口(一次試験)はおいでおいで。出口付近(二次試験)で奈落に落とすような。(ひどい)

一次試験の貯金は二次試験に非常に大きく効いてきます。

ただ、広大な二次試験の範囲に対して、一次試験の影響はそこまで大きくありません。

二次試験まであと3か月を切ってきました。

頑張っていきましょう(私も)

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