この記事を見に来てくれた方は難関資格である電験を認定で取得するか、試験で取得するかを悩まれている方かなと思います。
そういう自分も正直かなり迷いました。
長年、育児に仕事に使っていた頭。
脳の全盛期である20代からもうすでに倍以上経過してしまいました。
あれ?覚えられない。あの頃だったらもっと楽だったのかな。
勉強を通じて自分の衰えを実感してしまうのは非常に怖いものがあります。
なにせ相手は3種で最長3年で合格率8%程度。1種、2種はさらに最長で5年の猶予で3~6%程度です。
それも完全上位互換資格であるため、3種合格者の中から2種にこの合格率。2種合格者の中から1種合格率です。
1種合格者は年間数十人しか出ないという超難関資格です。
そんな資格を認定で取れる要件を満たしているなら・・・
そう思われている方の一助になればと思います。
試験で取るか、認定で取るかの2つの分かれ道。
難関資格と言われている電気主任技術者試験。
これを認定で取れるかどうか?というのは次の2点で抑えられると思います。
この2点にまとめます。
この2点は必ず必要というわけではありませんが、認定取得に対してかなり楽になるでしょう。
逆に言えば、この2点を満たしていなければ、この壁を超えていかなければなりません。
そう考える理由について解説していきます。
電験を認定で取得するか試験で取得するか。乗り越える壁
今回は認定を取る時の実務経験、点検実施、保安規定などについては省いています。
認定の実務経験と保安規定の壁については他の記事で紹介しています。
基本的に認定制度を利用すれば、誰でも認定要件さえ満たしていれば取れる。はずです。
はずです。としたのは、認定官の質問に答えられず、電験取得に足る知識と経験が無いと判断される場合です。
このことについては、かなり不確かです。
点検内容や保安規定のこと以外特に何も聞かれなかった。と聞いたこともあります。
中には。
PASについて説明してください。(3種認定)
比率作動継電器の動作原理と設置する理由ついて説明してください。(2種認定)
という質問があったという話を聞いています。
また、点検内容が保安規定の照らし合わせて適当であるかどうかというのも問われる内容です。
自身の行っている点検が何の意味を持っているのか。
どうしてここを見ているのか。
それらをしっかりと理解しているか?
点検で見つけた不具合の対処法、実際のトラブルなどを聞かれることもあるようです。
認定を受けるためには、確かな経験が必要なのですが、他にも壁になることはあります。
電験を認定申請で取りやすい環境ですか?
電験を認定で取ろうとしている方は、大抵選任された電気主任技術者の下で働いているものと思います。
そこで多くの方が、
試験受けたらどうだ?
と言われるでしょう。
認定で取ろうとすることに良くは思わないと思われます。
これには2つ理由があります。
1、自分が苦労して電験の資格を取ったから。
受験者も、指導者も”認定”と聞いた時に一番最初に頭をよぎる言葉じゃないかと思います。
勉強の苦労を経験せずに自分と同じ有資格者になるのか・・・
自分が苦労して試験で取ったから、部下に楽させないために受験を薦めてきているんじゃないか?
そして続く言葉は。
試験で電験を取得したほうが、実務で役に立つ知識がたくさん入る。試験で受けることをおすすめするよ。
そうは言ってるけど、認定で取得できる道を国が認めているのに。
どちらも正しいことです。
正しいことなだけに先輩主任技術者の意見が通りやすいと思います。
納得の行かないまま時間だけが過ぎていくことになりかねません。
2,経済産業省に提出できる資料が用意できるか
認定で電験を取得しようとする場合、取得しようとする人の知識経験が問われます。
じゃぁ、何を持って知識、経験を見るか。
現在、もしくは過去に認定要件を満たす施設の保安規定とそれ元にした点検実施結果、点検表の提出を求められます。
それは、認定要件を満たす全期間について問われるかも知れません。
その上で、この人は電験取得させてもいいかどうか。ということを判断します。
今、点検表を用意できて提出できる状態でしょうか。
保安規定はどこにあるのかご存知でしょうか。
大きな会社であれば主任技術者ですら保安規定を管理していないかも知れません。
古い施設であれば、改修に改修を重ねて今の規定では十分でない施設になっている可能性もあります。
それを経済産業省(局)に提出するという行為を進んで行う人はいるでしょうか。
それが上司(電気主任技術者)であった場合、上司の穴、もしくは歴代主任技術者の穴を突くことになります。
当然、主任技術者には施設の状況、情勢に合わせて保安規定を改定してく必要があります。
これを機に保安規定を修正しないとな!
という主任技術者であれば、とてもいい技術者です。
上司と一緒に二人三脚で認定取得を目指しましょう。
ですが、そうでない場合、相当渋られるでしょう。
これはある種しょうがないところでもあります。
言い訳させてください・・・
電気主任技術者は3種の資格を取得すれば、一人前というわけではありません。
変圧器って試験で出てくるけど、何なのか見たこともない。
スターデルタって何?飛行機?
そんな人いるわけ・・・
(はい自分です。スターデルタは嘘です。何かはわかりませんでしたが当時でも飛行機でないことはわかってたはず。多分。)
実際にはそういうことなんです。(ひどい例)
先輩主任技術者がいて、点検の意味、方法や手段を教えてくれる現場はとても恵まれています。
ただ、現場の中には新人有資格者に丸投げ、ないしは引き継ぎもない状況でよろしく状態です。
法律で選任しろって言われているから置いた。
保安って何?よくわからないから全部任せたわよ。
資格持ってるんだからできるんじゃないの?
有資格者はスーパーマンみたに思われてしまうかもしれませんが、いきなりその施設に来てわかるわけがありません。
責任だけ押し付けられる主任技術者は多いです。
それがわかるような経済産業省のお役人様のお言葉があります。
最初に保安規定見せてもらいます。そうするとだいたいね。8割~9割保安規定がダメ。修正して再提出をお願いすると。大部分が持ってこないの。
保安規定の改定自体は手続きとしては簡単です。
保安規定の変更は経済産業省の承認の必要はありません、主任技術者の届け出で実施することが可能です。
ただ、保安規定がどこにあるのかわからない、という主任技術者の方はそういうことにも疎い可能性が高いです。
ずっと経済産業省に行っていない。以前行ったらすごく冷たくめんどくさそうな対応された。(実際にそう。)
今更藪をつついて目をつけられるのも嫌だな。
そういう思いを大抵の主任技術者は持っています。
また、社内の規定を変えるということに二の足を踏んでしまう人も多いでしょう。
電気の仕事ではなく、対人の仕事をやりたがらない技術者は多いです。
そういった背景を知りつつ、先のお役人様のお言葉のようなことを言う人はどうなんだと思いますが、そうでもしないとやってられないプレッシャーの世界なのかもしれません。
先輩技術者の思い
1つ目の「自分が電験を試験で取ったから」という理由に加えて、2つ目の「保安規定、点検の不備」という理由も釈然としないものがあるかもしれません。
ですが、そんな保安について何もわからない状態で丸投げされ、誰に聞くこともできず、その状況を乗り越えてきた先輩主任技術者です。
現場に対する思いは人一倍あるでしょう。
だからこそ、そんな思いをしてほしくない。ちゃんと実力をつけてほしい。
そう思い試験での取得を勧めるかもしれません。
・・・
なんかきれいにまとめた気になってました。
そんな思いは置いておいて。(コラ)
まとめに行きます。
試験で取るか、認定で取るかの分かれ道。まとめ
冒頭に記載した2つの壁について気がついてきたでしょうか。
1つ目はそのままなのですが、2つ目の理由は少し遠回しに説明してきました。
以前に認定取得した人がいれば、その時に保安規定、点検計画書、点検表を提出して、経済産業省に認められた上で認定取得しているはずです。
多少の時代の流れはあっても、修正点は少ないはず。
認定を受けるまでに超えなければいけない精神的ストレスはかなり少なくなるでしょう。
1つ目は当然ですが実力があることを証明できるか。
ここも結構難しい点です。
相手は経済産業省のお役人様です。
あなたがどれだけ会社から信頼されており、人間性に優れいていても、そこを重視して見てくれません。
保安規定、法律に則って実務を遂行する力があるかどうか。
そのための知識、経験を問われます。
先に出した2つの問題。
・PASについて説明してください。(3種認定)
・比率作動継電器の動作原理と設置する理由ついて説明してください。(2種認定)
この質問を見て、うっと思ったら試験で取得することをおすすめします。
また自分が考えるならば。
・誘導電動機の仕組みについて簡潔に説明してください。(3種)
・保護協調について簡潔に説明してください。(3種)
・地絡方向継電器の構成について説明してください(2種)
・フェランチ効果について説明し、どのような状況で発生するか社会背景を踏まえて例を挙げてください(2種)
というのもありかなと思います。(変圧器がお団子とか言ってた奴が偉そうに。。。)
というのも。
試験で3種、2種取得者した人は、このぐらいの質問は完璧でないにしろ答えられるはずです。
裏を返せば、試験勉強することでその辺りの仕組も勉強することが出来ます。
電験の試験勉強は実務に直結する部分が多く、実際に業務をこなしている人であれば、
そうだったのか。なるほど!
となることも多いです。
そういう感覚は勉強に置いて非常に大事です。とても記憶に残りやすく、思っている以上に理解していることに気が付きます。
電気の世界はとてもわかりにくい世界なだけに、実力は顕著に現れます。
少しの勉強でとても有利になる資格。それが電験であると思っています。
認定1種の問題は無いの?
2種も受かっていない自分が例題出すのもあれなんですが、1種で出すとすれば。。。
・配電系統の連系におけるメリットとデメリットを挙げて、そのデメリットに対する対策を説明してください。(1種)
・直流送電による系統連系を行うメリット、デメリットを説明してください。(2種よりかも)
でどうでしょう。1種っぽく系統の出題に寄せてみました。
一度は受験をおすすめします。受験経験の記載項目もあり。
当てもなく広い電気の世界を闇雲に勉強するのは非常に効率的ではありません。
電験の勉強をすることは、かなり効率的に電気の仕組みを勉強できる手段になります。
できれば一度は受験していただき、勉強していただくことをおすすめします。
その上で、やはり難しい。家庭の事情で勉強できない。などの事情を考慮すれば、認定での取得に前向きになってくれるかも知れません。
自分の地域では認定取得提出資料の中に、
取得したい電験を受験し何科目合格しているか。
などを記載する箇所が認定申請書にありました。
認定による取得にはその辺りも考慮されるのかもしれません。
それでは。
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