電験2種と3種の違いについては、似ていると言われながらも、問題のレベル以外の点でも違うと言わざるを得ません。
前回は電験2種と3種の大まかな違いについて記事にしましたが、ここからは具体的な試験内容の違いについて見ていきたいと思います。
電験2種一次試験と3種の試験問題の違い
電験3種と2種一次試験は似たような多肢選択式なのですが、電験3種は問題1題に対して選択肢5つから選ぶ形式です。
3種の選択問題の例
一方で電験の2種は問題5題に対して、15個近くの選択肢から選ぶことになります。
2種一次試験選択問題の例
あてずっぽうで選択肢から正答を選ぶ場合、3種の場合は1/5に対して、2種の場合は1/15になり、まず当たりません。
一方で、ある程度勉強しており答えが推察できるのであれば、2種の一次試験はおおよそ選択肢を1/3程度まで絞り込めます。
2種一次試験理論の選択肢の例
極端な例を言えば、数値が入りそうなところに文字は入りませんし、高さ[m]を聞かれている箇所に重さ[kg]は入りません。
答えの単位の次元を見れば絞り込むことは可能です。
ただ、そうもかんたんに絞らせてもらえないケースもあり、自分が何度か解いた2種の過去問の中には、大問で問われ5題とも全て外れ(0点)ということも多々ありました。
3種の5択であれば、一問は当たる可能性があるのですが、何もわからない状態で、15択から正解を選ぶことは難しいです。
ただ、わけがわからない問題であっても、今まで勉強してきた知識から解答を絞り込み、答えを3択まで絞り込んで、運に任せるというのも、テスト本番では使用しない手はありません。
諦めずに少しでも合格に近づけていきます。
問題が出題される3種。原理を問われる2種
電験3種の問題は出題範囲が広く、様々な出題パターンを勉強する必要があります。
それこそ合格できればいい。と考えるのであれば、誘導電動機がどうとか、同期発電機がどうとか知っている必要はありません。(←ダメな人)
事実、自分が3種合格したときは、その辺りまったく理解していません(ダメn・・・)
問題が解ければ良かったのですから。
ただし、2種の一次試験はそうはいきません。
問題自体が原理や仕組みを問うてくる問題が多く、理論分野を除いて、計算問題はあまり出題されません。
出題傾向を見ても、同様な問題は出てくるのですが、出題の角度を変えてきたりと、一辺倒な覚え方では解答にたどり着けません。
2種受験前に色々と聞こえてくる話の中には、
2種の一次試験は3種の延長だから。
3種合格している人ならちょっと勉強すれば大丈夫。
などのささやきも聞こえてくるかもしれません。。
ですがそれは、3種の勉強の時点で、物の仕組み、原理まである程度理解して合格した人です。
私のような、適当な問題だけ解ければいいや、として勉強した人はイチからやり直しです。
ですが下手に理解しているプライドを持っているよりも、イチからやり直すほうが記憶も新しく理解も理解も進みやすいかもしれません。
ただ、3種以下であった自分はもっと基本的なことから勉強を開始しはじめました。
それが今回一次試験合格への近道になったのではないかと思っています。
また、次に控えている2種の二次試験は選択問題ではなく、記述式です。
しっかりとした知識を持っていないと、問題文が何を言っているのか解らず、それこそ1文字も書けません。
そのためにもしっかりとした基礎を一次試験で作っておくことが二次試験合格に対しても重要です。
計算問題と原理の理解とを分けて勉強できる。
これは時間が無い人用の勉強方法ですが、電験2種一次試験突破だけを考えれば、電力、機械などで計算問題は省いてしまってもいいかなと思います。
一部出題される可能性のある範囲もあるので一概には言えないですが、優先としては原理の部分をしっかり勉強してください。
ただ、計算問題は出ないとしても、電気数学は勉強しておいたほうが良いです。
三角関数の加法定理がわからない。微分積分できない。
となると、見た目は難しくても、基本的な数学だけで解ける問題が出題されると非常にもったいないです。また、原理を理解するにも電気数学の知識があると理解が早くなります。
自分はこちらで勉強しました。
基礎から電験に必要な数学教えてくれるのでとても役に立ちました。
二次試験でも必須の知識なので、コストパフォーマンス良く勉強していきましょう。
知識問題でも計算は必要。
知識問題では、参考書を読んでいれば大丈夫と思われているかもしれませんが、実際に手を使って問題を解いた方が良い知識問題も多々あります。
よく迷われる問題として、変圧器の電圧が低下した場合、鉄損、銅損はどうなるか?という問題。
鉄損、銅損はほぼ電圧に2乗に比例して減少すると書いてあるかもしれません。
それで覚えられればいいのですが、え?比例?どっちだっけと迷ってしまうこともあるかもしれません。
脳みその容量が少ない自分はできるだけ意味で考えないと覚えることができません。
例として電圧と周波数が鉄損に及ぼす影響を考えると。
誘導起電力の式が次式で表されるので。
\(e=N\frac{d \phi}{dt}\)
磁束の変化を
\(\phi=\Phi_m\sin{\omega t}\)
とすれば。
\(e=N \omega \Phi_m \cos{\omega t}\)
となります。
ここで\(\Phi=\mu B\)であり、\(\omega=2\pi f\)であることから、
\(E=K_v f B_m\)から電圧\(E\)は\(f・B\)の積に比例します。
※ 定数部分を見やすくするためにどんどんまとめていってしまっています。
ヒステリシス損\(\displaystyle W_h=K_h f B_m^2=\frac{KE^2}{f}\)
となり、電圧の2乗に比例し、周波数に反比例することがわかります。
これらは確かに覚えても大丈夫です。
ですが、こうだから、こうなんだ。
間違いなく確信をもって答えを出せる方は後者です。
これら原理は他の科目でも役に立ちます。
電験の勉強の面白いところですよね。難しい解説もあるのですが、一度、そうなんだぁ。となるとなかなか忘れられません(苦笑)
電験2種と3種難易度の違い
基本的に電験2種も3種も電気の根本は同じです。
問題の解き方一発で答えられる問題が多いのが3種。
問題に対して、様々な解き方ができ、かつ、さらに解く意味が分かっていないと、その先の問題が解けないのが2種です。
逆に3種の内容を、意味までしっかり理解して問題を解けている時点で2種一次試験の合格は近いのではないでしょうか。
2種は原理や仕組みを問う問題が多く出題されるため、付随する計算問題もそのような傾向があります。
その他純粋に計算問題を勉強しておかないと不安な人は(自分)
使用したこれだけシリーズでは計算問題はほとんど掲載されていません。
ただ、計算問題をしていないと不安な方は3種の問題を解きましょう。
ただし参考書を敢えて購入するのはもったいない。
昔使っていたものがあればそれでいいです。敢えて無理をせずに基本問題だけ復習しておくのがいいかなと思います。
参考書を見て、どれやろうかな?と考えられるだけの能力があればそれでもいいですが、
自分のような3種のことを忘れてしまった人は、
3種だしね。2種の勉強してるんだから。
と、完全に舐めた状態で3種の参考書を見て問題を解こうとすると、問題の解けなさに絶望します。(しました)
余計な時間をそこにとられるよりも、講義を聞いて少しでも理解を前に進めましょう。
出題範囲の広くなる法規がくせもの
基本的に3種の出題範囲を掘り下げて基本的なことを聞いてくるのが2種の一次試験ですが、法規においては、
5万ボルトまで対応できる三種の資格に対して、17万Vまで対応する2種の範囲なだけに、その分の範囲が追加されます。
その中でも特に範囲が広くなるのが施設管理。
施設管理はその名の通り、施設を管理するために必要な法律などについて聞かれるのですが、3種の範囲ではビルの管理を前提とした受電設備などでしたが、2種になると発電所や変電所などの施設に広がるため、あまり馴染みのない分野かと思われます。
早めに取り組んで、イメージを固め、わからないところは実際にどんなものが使用されているのか。
例えばGISって何?どんなもの?保護リレーってどんな時に動作するの?など、
なんのためにGISが必要なのか。また、保護リレーは何を検出して、何から機器を守るのかなど知っておくことが重要です。
2種の一次試験は思ったよりも内容が深く、理解にその人の知識量が大きく反映されます。
3種の延長だからと油断せずに、しっかり2種対策用として勉強しましょう。
3種には無かった難関の記述試験はどうする?
一次試験を無事通過できたとしても、続く二次試験は記述式です。
一次試験なんて普通は通るんでしょ?二次試験からが本番なんだよね?
そう言われるのは一次試験を一生懸命勉強して突破した人からすれば不本意です。
ただ、確かにそれぐらいの差が一次試験と二次試験の間にはあります。
感覚的には2種一次と2種二次は3倍ぐらい。1種一次と1種二次の間は10倍ぐらいの差がある気がします。
ちなみに3種と2種一次の勉強量の差は1.2倍ぐらいかなと思います。
一次試験でかなりの知識を得たと思っていても、いざ記述式の論述を書こうとしても書けない場合が多いです。
一次試験はとても難しい。だが、二次試験はもっと難しい。
だからといって一次試験を軽視していいものではありません。
一次試験を突破出来た人は誇って良いと思います。
あの電験2種一次試験を突破したんだと。
一次試験を突破した段階で3種取得者よりもかなりレベルが上がっています。
自分が思うには2種一次試験は一次試験でありながら3種合格と同様以上の努力が必要だと思っています。
二次試験の壁の高さに挫折してしまったとしても、それまで得た知識は無駄にはなりません。
正直なところ、二次試験で諦める人は多いと思われます。
ですが、それは、現在の業務で必要な知識を得られたからかもしれません。
電験の勉強をしていく中で、最初解らなかったことがどんどん分かってきます。
それは机上においても実地においてもです。
電験の勉強をしていくということは電気の知識をどんどん深めていくことになります。
試験が終わる頃には電気主任技術者としての厚みは比べ物にならないものになっているのではないでしょうか。
二次試験は届かない壁?いやいやそんなことありません。
そうまでいう二次試験なんて普通の人には無理なんじゃないの?
一次試験を持ち上げてしまったせいか、二次試験がはるか高みに行ってしまった気がしますが、
実際に届かない目標ではありません。
二次試験と一次試験の大きな違いは、一次試験ほど広い範囲ではないからです。
合格ラインに到達するのは非常に難しいのですが、勉強する範囲が一次試験より限定されることでかなり勉強しやすくなります。
当てもなくさまよっていた一次試験に対して、二次試験はとてつもなく高い山だけど山頂は見えている。
そんな感じでしょうか。なんか富士山と樹海みたいです。
一昨年登ってきました。
コツコツ登れば山頂にたどり着ける。目標が見えているのが電験2種の二次試験だなと思います。
まとめ ”普通の人”って
文中に何度も出てきました”普通の人”という表現。
誰もが勉強する前は普通の人です。
逆に勉強すれば普通の人よりも一つ前に進んだ優れた人です。
電験の2種は努力をすればとれる。
そんな、文章を見たことがありますが、確かに2種は努力で取得可能な範囲だと感じます。
その努力は並大抵なものではないかもしれませんが、少しずつでも取り組んでいただくことで一歩でも前に進めます。
自分は普通だから
なんて思うことはありません。
すぐに普通の人よりも前に出ることができます。
いつの間にか周りはあなたのことを”普通の人”という目で見ていななくなっているでしょう。
そして、勉強しない人が”普通の人”の枠に残り、”普通の人”という表現に安心してしまうのです。
”普通の人”なんていう曖昧な表現は環境によって変わってしまいます。
しっかり勉強していきましょう。成長はしっかりついてきてくれます。
コメント