令和4年度エネルギー管理士試験(電気)の難易度評価(という名の感想^^)

エネルギー管理士
はっち
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2022年のエネルギー管理士試験は難しかった!?

こんにちは、はっちです。

R4年度エネルギー管理士試験速報部隊として当日、途中参戦ではありますが問題を解かせていただきました。(アベンジャーズと言われるには荷が重い^^;)

そのうえで今回の問題の難易度と例年との比較をしてみたいと思います。難易度は主観で5段階、幅があるものは問題の難易度に差があることを表しています。

令和4年度 エネルギー管理士試験の問題と傾向

本年度のエネルギー管理士試験(電気)の問題は、一言で変化を表せば、小問の誘導に従って解くだけでは解けず、数学的な思考力が試された問題が多かった印象です。

それでは、問題を課目ごとに見ていきたいと思います。

課目1 エネルギー総合管理及び法規

課目1全体としては、良く出題される条文からの出題が多くひねりも少ないため、全体的に易化した印象です。

問1 エネルギーの仕様の合理化等に関する法律及び命令 難易度 ★★☆☆☆

比較的素直な出題がされた印象です。法令に関しても基本方針に関しても捻った問題は出ず、一部”国土交通大臣との協議”あたりの文章が悩ましいところですが、そこがヒントになり回答できたとも思います。

毎年出題されるエネルギーを使用する工場についての問題も近年エネルギー管理者の人数について聞かれていることを押さえていれば問題なかったと思います。

一部。”工場で使用する冷却水”については悩んだかもしれません。冷却水の放熱は空気によって行われており、化石燃料由来のものではないことに気が付けるかがポイントです。

問2 エネルギー情勢・政策、エネルギー概論 難易度 ★★☆☆☆~★★★☆☆

こちらも基本的な問題が出題された印象です。

ブルー水素、グリーン水素については知らないと厳しかったかもしれません。

ちなみに化石燃料由来の変成水素をグレー水素と言います。

排出された二酸化炭素を回収、地中深くに貯留するものをCCS、問題で出題されたCCUSは回収、分離、貯留を表します。(Carbon dioxide Capture,Utilization and Strage)

問3 エネルギー管理技術の基礎 難易度 ★★☆☆☆

頻出の基準8項目に続き、熱・電気の基礎計算問題も過去問を解いていればどこかで見たことのある問題ばかりだったと思います。”蓄熱性のあるレンガ”の問題ぐらいでしょうか。

課目1は全体として易化傾向だったかなと思います。実務に直結する部分ではありますのでしっかり勉強しておくとよいです。

課目2 電気の基礎

相変わらずタイトル詐欺の電気の基礎です。一日の最後の課目であり、疲れているところに厳しい問題が出題されるため落ち着いて解く必要があります。

今年は難関である自動制御が易化したため、課目合格がしやすくなったのではと思います。全体としては標準的な難易度と思われます。

問4 電気及び電子理論 難易度 ★★☆☆☆~★★★★☆

(1)はRC回路の最大電力を求める問題でした。基本的な内容ではあるのですが、途中”微分式”が出てきて面食らった人もいるのではないでしょうか。

(2)は単相負荷と平衡三相負荷を合わせた問題で難易度は少し高めであったと思います。一見すると「うわっ」と思いますが、落ち着いて誘導に従えばある程度点数はとりやすかったのではと思います。

特に”第二の方法”では、最後の計算が省かれているため、部分的に分かったとしても点数がとれる問題でした。そこに気が付けるかどうかですが、この辺りがエネ管なりのテクニックの一つです。

問5 自動制御及び情報処理 難易度 ★☆☆☆☆~★★★★☆

例年難しいとされている自動制御ですが、今年は非常に取り組みやすい問題が出題されました。ただ、ゲイン線図など難しめの出題もされているため、(1)は取りこぼさずに取っておきたいところです。

情報処理についても基本的な問題であったと思います。2の補数、文字コードは少し厄介ですが、(3)は易しい問題だと思います。

問6 電気計測 難易度 ★★★☆☆~★★★★☆

ブリッジ回路に関する問題ですが、過去問にも何度か出題されており、少し古めの問題を解いていた人には取り組みやすい問題だったと思います。

ただ、ここでも若干の数学的な質問があり、悩んだ人もいるかもしれません。

熱電対の出題は難しいと思います。知らない人にとってはほぼ2択まで絞ってなんとかなるかというところです。

課目3 電気設備及び機器

全体として計算量が多い年度な上に考えさせる問題が多かったかと思います。例年易化傾向でしたので、難易度を戻してきたような印象です。

問7 工場配電 難易度 ★★☆☆☆~★★★★☆

前半のリレーや配電線の問題は易しい問題です。是非得点したいところです。

続く簡略式を利用した配電線路の電圧降下の問題ですが、全体の有効電力、無効電力のイメージができていないと厳しい問題だったかなと思います。

また、細かな数値を入れる必要があり、回答形式も数値を入れる問題なので正答率は低めではないかと思います。

問8 工場配電 難易度 ★★☆☆☆~★★★☆☆

コンデンサに直列リアクトルを取り付ける問題、高調波の問題は電験でも頻出問題です。

電力平準化の計算問題は若干難しいです。きれいな数値にならないのも悩ましい。

(4)は不等率と力率の問題は一見難しそうですが、力率の算出方法が分かっていれば難しい問題ではありません。不等率については頻繁に出題されますので覚えておきたいところです。

問9 電気機器 難易度 ★★★☆☆

(1)(2)は変圧器の損失に関する問題です。例年良く出題されておりますので解けた人も多かったのではないかと思います。

(3)の巻線形三相誘導電動機はその滑りなどのイメージが必要です。

(4)も難易度は少し高めです。銅損と無負荷損の計算方法を押さえておきましょう。

問10 電気機器 難易度 ★★★★☆~★★★★★

同期発電機については用語が難しいので取り組みにくいと感じた人も多かったのではないかと思います。

(1)は同期発電機としては基本的な事項ですが、上記の理由で難しいと感じる人も多いのではと思います。

(2)も苦手とされる整流回路の問題です。見た目に難しそうな式を整理できるか、また制御角と負荷の性質についてどう変化するのかを理解しているのかを試された問題です。難易度は高いかと思います。

(3)は悩んだ方も多かったのではないでしょうか。1)~3)の問題は答えられても、4)の問題は別物です。小問がミスリードになってるちょっと嫌なケース。

エネ管アベンジャーズ内でも議論になった問題です。(←言ってるじゃん)

課目4 電力応用

毎年エネルギー管理士試験(電気)に立ちはだかる壁、課目4電力応用。

ただ、今年は例年よりも易化傾向にあると思います。

昨年度難しかった問11,12の電動力応用が易化し、その分、選択問題が若干難化しました。

選択問題は得手、不得手によって問題が選べるため、例年に比べると点数が取りやすかったと思われます。

問11電動力応用 難易度 ★★★☆☆~★★★★☆

(1)三相誘導電動機のL形等価回路の問題です。一見ややこしそうですが、聞かれていることはそれほど難しくありません。制御手法についてもV/f制御、ベクトル制御については電験でも知っておきたい範囲です。

(2)のケーブルカーの問題もまた見た目に難しそうな問題です。回答欄が全て[kW]で表示されており、力と電力を上手く繋いで問題を解く必要があります。問題文が理解しにくく難易度は高めかと思います。(斜面方向ってどっち?^^;)

問12 電動力応用 難易度 ★★☆☆☆~★★★☆☆

(1)電気自動車の走行エネルギーに関する問題です。電力応用おなじみの、非常に長い問題文、複雑な計算式。ですが、今回、その内容はほぼ代入と簡単な計算をするだけという問題です。例年に比べて非常に易しい問題です。ただ、それが分かった上で取り組めるようになるための壁は高いです。

(2)昨年度は送風機の問題だったのに対して、今年度はポンプの問題ですが、この問題で大事な[p.u.]法を上手く扱えるかという点では考えさせられる問題と思います。

問13 電気加熱 難易度 ★★★☆☆~★★★★☆

(1)レーザーにアーク炉、誘導加熱などの仕組みを知っていることが大事ですが、特に後半の(2)の温度管理の仕組みについては難易度は高めというところです。

一方で(3)は例年通りの標準的な問題でした。単位を意図的にずらしている当たりいやらしいですが、エネルギー管理士試験らしいと言えばそうかもしれません。

問14 電気化学 難易度 ★★★★☆

(1)二次電池の仕組みと材料などについての問題です。電気化学は比較的易しい問題が多い印象ですが、今年は問われている内容が難しいです。

(2)3)の水素・酸素燃料電池の問題も、落ち着いて読めば解ける問題なのですが、試験中焦る方も多いかと思います。

問15 照明 難易度 ★★★☆☆~★★★★☆

(1)LED素子の発光原理、演色評価数など課目1で出題されるような問題ですが、易しくはありません。

(2)のLEDと蛍光灯の比較は過去問でも出題されており、今後も出てくる問題かと思います。

(3)の照明計算は相変わらず難易度は高めです。良く問題文を読んで、公式に当てはめていきましょう。課目1でも出題されたタスク・アンビエント照明が分かっていないと、どんな状況を表しているのかわからないかもしれません。

疑問点:問15(3)のタスクアンビエント照明の導入問題。2灯用蛍光ランプを1灯用に変えることでは、安定器による消費電力があるので半分にはならないのですが、計算ではきっちり半分として計算することで公式発表された解答が導かれます。分かっている人は割り切って計算したのかもしれません。

問16 空気調和 難易度 ★★★☆☆

こちらも課目1で出題される内容を高度にしたような内容の問題が出題されました。

計算がややこしく間違えやすい問題でもありますが、オームの法則を熱に適用できればそれほど難しくありません。

また、ヒートポンプと成績係数などは空気調和を選択できる人は得意とするのではないかと思います。

フロンの問題は、そこを問う?という問題です。

令和4年度エネルギー管理士試験(電気) 総評

今年度は課目1を除いて、難易度が平均化したのではないかと思います。

特別難易度が高い問題も出題されず、一定以上勉強している人にとっては取りやすいかったと感じたかもしれません。

ただ、内容はそれほど難しくなくても、考えさせられる問題が多かったため、覚えて受かる試験の傾向がいつもより薄くなりました。

過去問を解き、何が問われているのかを理解しながら問題を解くような勉強が今後の対策として必要だと感じます。

それでは^^

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