有効数字を細かく取ると、解答が間違えることがあるんだけどどうしたらいいんでしょう?
という質問をいただきました。
この話は確かに自分も疑問に思ったことがあります。
エネルギー管理士試験において、この有効桁数の扱いには悩まされる人が多いと思います。
詳しく見ていきたいと思います。
エネルギー管理士試験の有効数字の扱い
エネルギー管理士試験では選択問題も出題されるのですが、細かな計算問題は数値をマークさせる問題もあります。
例:出てきた答えが\(\fbox{123.4}\)の時、\(\fbox{ABC.D}\)は、\(A=1、B=2、C=3、D=4\)とマークします。
この場合、\(ABCD\)一つでも間違えれば誤答になり点数はありません。
そうなると気になるのが有効数字の問題です。
\(D\)はその下の桁の影響、もしくはそのまた下の桁の影響まで受けてしまうかもしれません。
解答の注意事項としては、
「解答は解答すべき数値の最小位の一つ下の位で四捨五入すること」
とされています。
ただ、これでは解答はそれでいいのですが、途中計算はどうするのか?
というところが解消されません。
実際に、\(\sqrt{3}\)を\(1.7320508\)(ひとなみにおごれや)や、円周率を\(3.14159\)と計算したりすることで誤差のずれが出てきて、下1桁を間違えるようなことがありました。
実践的に細かく見ると、有効数字3桁必要であれば、4桁目を計算しておきたいところですが、その際、5桁目をどう扱うかが悩ましいところです。
具体的には、円周率\(3.141592・・・)\を用いた場合5桁目を切り捨てて\(3.141\)で計算するのか、5桁目を四捨五入して\(3.142\)で計算するのかで解答がズレてしまうことがありました。
この時、正答として公表されていた数値は\(3.141\)を用いた計算結果でした。
エネルギー管理士試験において、計算途中の有効桁数の2つ下は、解答と同様に切り捨て。
ということです。
より正確な誤差について考える
多くの人はこの結果を納得しないのではないかと思います。
より正確な値は\(3.142\)が近いはずです。
こっちが間違っててなんであっちがあっているの?というのは普通に思うことです。
ただその対策か、最近では正答に幅がある年がありました。令和元年の話です。
正答は\(166\)としながら、範囲が\(165~167\)も正答とする。という誤差を考慮した配慮がなされました。
そして、その翌年。
次のような若干不可解な問題が出題されています。
注目すべきは、1つ目の□と2つ目の□です。
書いてはいませんがこの問題の前問に於いて、ずっと3ケタで答えさせてきたのが急に最後の問題だけなぜか2ケタで問われています。
この問題は、与えられた数値をじっくり丁寧に計算していくと、\(81.0\%\)と出るので問題は無いのですが、知っている人は即座に\(81\%\)と答えることができる問題です。(私はむりw)
そのためか解答は2ケタを求めてきたようです。
じっくり丁寧にやる方法はかなり細かな計算が出てきますので、誤差が生じる可能性があります。
ただ、知っている人の方法では有効数字二桁(\(81\%\))までしか出さない可能性が高く、3ケタにすると悩む人が出るかもしれない。と考えたのだと思います。
その影響を出題者側が考慮した形になったのでしょう。
この話は令和2年の話ですので、今後このような誤差の影響のない形の解答方法になると思います。
このことから小さい桁数の切り上げ、切り捨てはおそらく考慮される出題とされるため、お好みで大丈夫かと思いますが、歴史を見ると切り捨てられていたことがあるということは知っておいてもいいかもしれません。
数値が限定されることもある
その他の誤差対策として見られることとして、エネルギー管理士試験の中には問題文中に数値が限定されることもあります。
\(\sqrt{3}=1.73\)とする。
というような感じです。
このような場合、\(1.73\)を使用してください。間違っても\(1.7320508\)など使用してはいけません。
誤差による正答のゆれが生じる場合はこのように限定されていることが多くあります。
有効桁数について物申したい
エネルギー管理士試験において、表示されている有効数字はかなりあやふやです。これは電気の世界で通常表される数値を用いているためだと思います。
交流の波を扱う電気において、
コンセントの電圧っていくつ?と聞かれて。
通常101V±6Vの実効値で表されるけど、交流の波で最大値を考えると・・・(うざ)
なんて答える人はいません。(多分)
普通の人は100Vだよ~で終わりです。
そもそも一定に振動する波を使用しているため、瞬時瞬時で値が変わってきます。
常に変動しているため、通常は桁の正確さよりも、ざっくりと使用してしまうことが多いでしょう。
現場の運用も踏まえた値の設定は、数学的には少し物足りないものとなるものしょうがありません。
有効数字がとても大事な充電効率の話
誤差がより影響を多く与えるのが二次電池の充電効率なんです。
答え:約\(69.4\%\)
結構減ってしまいますね。
こうなると、さらに9の下の数値が重要になってきますよね。
充放電変換効率が\(99.99\%\)だとすると、1年間で\(3.6\%\)しか電池容量は減少しません。
大事な有効数字を考慮しないと、本当に欲しい数値の情報がずれてしまいかねません。
有効数字について少し整理してみよう
有効数字について少しだけ考えてみます。
力率は0.9とした場合、使用されている電力量を考えてみます。
0.9は有効数字一桁です。
ですので、力率が0.9で定格運転にて運用されている三相トランスの容量が\(250kVA\)の有効電力は有効数字一桁の\(2 \times 10^2[kW]\)です。
普通に計算すれば\(225kW\)になりますが、有効数字を考慮すると、\(2 \times 10^2[kW]\)になってしまいます。
力率0.9というのは0.9より下のケタがどうなっているのかわかりません。
0.99かもしれませんし、0.90かもしれません。信頼できるのは0.9というところまで。
この誤差は損失が小さい効率などを求める場合に、影響がものすごく大きくなります。
力率90%(0.90)とするとした場合でも有効数字二桁のため\(2.3 \times 10^2[kW]\)です。
これでもまだ\(225kW\)という数値は出てきません。
\(500kVA\)の三相トランスが力率0.9の定格出力に於いて、無負荷損が\(600W\)、負荷損が\(1.0kW\)の場合の効率を考えます。
この場合、効率計算は、
\[\displaystyle \eta = \frac{500 \times 0.9}{500 \times 0.9 + 0.600+1.0}=0.996457・・・\]
と出てきますが、有効数字が一桁なので答えは1(100%)になってしまいます。
力率90%(0.90)としても効率はまだ1(100%)です。
力率90.0%(0.900)までいくと、今度は負荷損\(1.0kW\)の有効数字が2桁が阻んでくるので、結局有効桁数2ケタになり効率は1です。
全ての与えられた数値が3ケタまである\((500kVA、力率0.900、600W、1.00kW)\)ことで、効率は0.996(99.6%)とようやく効率としてありえる数字が出てきます。
数値の有効桁数はこれらを考える上で非常に重要なんですが、さらーっと通り抜けていることが多い気がします。
まとめ:誤差による誤答が出ないように配慮される
ということ話がそれましたがまとめると、おそらく今後エネルギー管理士試験においては、
誤差の影響が出る問題で、丸め方の違いによる誤答は出ないように配慮される。
と思われます。
数値に対して少しでも受験生の疑問が解消されれば幸いです。
それでは!
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