電気主任技術者の資格に必要な電験3種。
通常資格試験には合格率が掲載されていることが多いのですが、主催している電気技術者試験センターは少し変わった合格率を公表しています。
最終的な合格率は公表されているのですが、それは3年間の科目合格繰越制度を利用した上での合格率です。
電験3種の合格率は下の表のようになります。
平均して9.4%になりました。(最新のものは別記事で更新しています。)

科目合格制度があるにもかかわらずこの合格率の低さ。
筆記と実技とある第二種電気工事士の一次試験(筆記)、二次試験(実技)がそれぞれ58%、70%とされているため、ただ単純に掛け合わせると41%程度の合格率なのですが、それに比べても格段に合格率が低いことがわかります。
さらに上位互換資格である合格率数%の電験2種、電験1種と高難度になっていくのですから、例え全部掛け合わせるとすると相当小さな値になります。
だとすると尚更気になるのが一発合格率。
中には一発合格した人もいれば、2回、3回、それ以上と受験して合格する人もいます。むしろ一発合格の難易度が高すぎるために、科目合格制度があると思われますので、多年度合格者のほうが割合は高いと思われます。
公表されている合格率は合格者の受験回数がどういう分布になっているのかわかりません。
これらの情報から一発合格率が導けないか考えていきます。
結論を先に言えば、ある程度合格率の上限値は想定できましたが、正確な数値は出ませんでした。
科目合格率から一発合格の割合を考える。
最初に思いつくのがただ単純に掛け合わせる方法かなと思うのですが、公表されている科目合格率は、
1、その年の4科目合格者(3種取得者)の理論、電力、機械、法規科目の合格率
2、その年の4科目合格できなかった人の理論、電力、機械、法規科目それぞれのその年の合格率
の二つです。
1、の4科目合格者を見ればよさそうですが、一発で4科目合格している人もいれば、残り1科目だけで合格した人、その他が含まれているためわかりません。
2、についても同様です。
試しに2007年~2019年の平均値を取り、科目毎を掛け算してみました。
理論、電力、機械、法規それぞれの合格率が出ているのならばそれの掛け算で出るのではないかということです。
2019年~2007年の4科目合格達成者の平均科目別合格率は
理論科目17.2%
電力科目17.8%
機械科目17.3%
法規科目19.5%
と出ました。
計算してみると。
4科目合格者で0.104%と出ました。
なんと1000人に一人。
いい線言っているような気もしますが、ただ低すぎますよね。科目合格できるような人が他の科目も同様な合格率であるとは限りません。
一発合格という点を見ようとすると、この資料ではわかりません。
次の検討をします。
合格者の内訳が受験者の内訳と等しいと仮定する。
こちらが本命の予想です。
電気技術者試験センターからアンケート結果が公表されていました。その中に、何回目の受験かということを出ていましたのでそこから絞ってみたいと思います。
※ 電気技術者試験センターより
受験者の割合が初回の人が35.7%、二回目の人が22.8%、3回目以上の人が41.4%でした。
過去の合格者平均が3,782人であるから、この合格者の受験回数の内訳が仮に受験者の受験回数の割合と同様と考えると、
一発で合格した人が1,350名になります。
全受験者数3年平均45,985人からすると、1,350人は2.94%になります。
本来であれば複数回受験者の方が初回受験者よりも試験突破率は高いと思われるので2.94%よりも低くなると思われますが、これより高くなることは無いのではないでしょうか。
(参考)経験的に周囲の合格率を見ると。
後は、試験合格者の中で初回合格者の割合を想像するしかないのですが、3種の場合印象として自分の周りの合格者の中で1~2割ぐらいが一発合格しているような印象でした。
それを基に1~2割と仮定すれば、合格者数平均の8.3%に対して0.8%~1.7%程度が一発合格率なのかなという印象です。
これは完全に想像です。当然周辺環境によるものもあれば、当人のモチベーションの違いとも思います。
電験3種一発合格率のまとめ
初回受験者よりも複数回受験者の方が合格率は高いだろう、という想定の基であれば、一発合格率は2.94%以下ということはおおよそ大丈夫かなと思います。
それが1%なのか、2%なのかは想像するしかありませんが、一発合格率はかなり低いことが見て取れます。

一発合格率3%以下!
と公表したら、受験者がいなくなってしまうのかもしれません(苦笑)
それだけ難易度の高い試験なのだと同時に、それを突破されている方の地位を会社的に認めてほしいと思います。
受験回数から一発合格者を類推する。(おまけ&おふざけ)
ここからは個人的な主観による類推が多く含まれております。(半分おふざけです。)
電験3種受験の際のアンケート結果から、1回目の受験なのか、2回目の受験なのか、それ以上なのか?
というアンケート結果があります。
”受験回数の比較は例年傾向に大きな変化はない”とのことより、
(1回目受験者)―(2回目受験者)=(電験3種受験を終了した人)
としました。
それから考えると。
受験者の中の12.9%の人が電験3種の受験を1回で終了しているということになります。
ただ、この中には一回で合格した人のほかに一回で諦めた人の数も含まれてしまっています。
正直なところそのような結果になってしまった人は少なくないと思われるため、こちらも正しくありません。
それでは、
諦める人を類推してみることにします。(この辺りからふざけてきます。)
電気主任技術者の受験者の内、学生11% 就業者85%、その他4%となっています。
その他は自宅警備員としてカウントするため学生としています。(ぉぃ)
それぞれの受験動機から継続して受験をしていくか、それとも諦めるか。こちらもかなり乱暴ではあるが想像していきます。
学生の受験動機の項目
学生の受験動機のアンケートは以下の表の通り。
一般財団法人 電気技術者センターより引用
この中から力強いオーラを感じるのを継続受験枠とし、そう?というものを諦める人の枠とに分類してみます。
もちろんそうでは無い人が多数いることは承知しているのですが、ここまで来たら分類せざるを得ない。
心を鬼にして分類します。
強いオーラを感じたもの。
・学校の勧め(就職を有利にするため)
就職を有利にするという動機は一年に一回の受験で、高校生なら3年間、専門学校なら2年間(?)、大学生なら4年間の学生の内から継続して勉強するという高いモチベーションを持つのは難しいのでは?と考えます。
だが、彼らは一人ではありません。集団の中で仲間外れにならないよう、2年生、3年生と継続で受験する可能性は低くないと思い、継続受験の枠に入れました。
最初から感じられるオーラが小さい気がするが気にしません。
・家族・知人の勧め(家業を継ぐため)
家業を継ぐという親の熱い思いは子に大きなプレッシャーをかけるはず。親からの熱いエールを受けるので継続枠。
・自分の判断で(就職を有利にするため)
自ら行動するということは大きな力を必要とする。少なからず受験料がかかる電験受験に自分から行動したことを評価したい。
継続枠。
強いオーラを感じなかったもの。
・その他項目。
その他ってなんだ。オーラを感じない。中にはアンケートの枠にとらわれない熱い心の持ち主がいるかもしれないが、少数だろうということで諦め枠。
・家族・知人の勧め(就職を有利にするため)
家族・知人の勧めというのはあくまで他力。自分で行動しようとすることに大きな結果が伴うのではないだろうか。諦め枠。
・自分の判断で(能力を試すため)
自ら進んで高難度の問題を取り組む姿勢はとても評価できる。ただ、2回目受験料を払ってまで力試しする人はどれぐらいいるだろうか。
せっかくだから、という人もいるだろうが少数と判断。諦め枠。
合計すると継続枠は66.6%、諦め枠は33.3%となりました。
社会人の受験動機編
社会人の場合、アンケートの内容が大きく違います。
より切羽詰まったような理由が多いですが、心を鬼にして熱い思いを感じたい。(何言ってんの)
・資格が必要な職務に就いているため。
これは取るまでがんばるでしょう。むしろ持っていなくて今大丈夫?と聞きたくなる。熱いものを感じる。燃えるようだ。
・新規事業の開拓等で資格をとる必要が生じたため。
これも熱い。新しく開拓する事業にはお前が必要なんだ。と肩をたたかれたに違いありません。
取れなかったら本当の意味で肩たたきになりかねません。焦げている。
・勤務先の事情で再就職せざるを得ない。
どんな事情があるにせよ、転職せざるを得ないという状況はつらい。
ただ、そのつらい気持ちを資格に向けるよりも転職に向けてほしい。転職するために必要。有利。という理由はいいが、切羽詰まった状況であれば2年も3年もかけてられないのでは。継続としては諦め枠。
・勤務先で希望する職務に就くため。
これも結構熱い思いが伝わるようだが、先の質問に比べると弱い気がする。諦め枠。
・昇進または給料・収入を上げるため。
そう。これ。これだよ。前の質問よりもこの理由の方が熱い。お金は大事。
・自己都合で転職するため。
ただの聞き方の問題な気がするが自己都合か。
熱い思いを持つ人も多そうだけど、そうでない可能性もある。諦め枠。
・独立・自営するため
そう!これ!こっちだよね。独立するためには大きなリスクを伴う。そのために如何にリスクを減らすか。
これにかける情熱は相当だろう。
個人的に率を2倍にしたい(だめ)
・定年後の再就職に備えるため。
定年までの時間、状況は人それぞれ。備えるのは大事だけれどもほかの事項に比べると熱い思いが弱い気がする。
ただ、時間があるということから継続する確率は高いと思われる。継続枠
その他の・・・
諦め枠。
さて。これらを合計すると、継続枠 73.2% 諦め枠26.8%
学生と就業者の重みを加味して計算すると継続枠は72.12%
27.88%が諦めると導かれた。
これを人数に換算して一回で受験を終える人から引くと2,665人と出てきた。
一発合格する人がこれぐらいいるということのようです。
受験者全体でみると4.1%
うん?多くない?
やっぱり無理か。長い計算と若干ふざけた考察により(無理矢理)
結局のところ、3種一発合格の率は先程の2.94%以下というのが良さそうかなと思います。
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