電気業界では花形資格の電験。
その中でも電験1種、2種はその高難度ゆえに敬遠してしまう方も多いかと思います。
では、実際にどれぐらいの人が合格しているかを電気技術者試験センター公開資料よりまとめてみましたので、ご活用いただければと思います。今回は電験2種です。
電験2種一次試験の合格率
公開されていた2007年~2024年までの18年間の一次試験合格率のデータです。
電験2種一次試験の合格率は、電験3種の4科目合格率の9.6%に比較すると、24%程度とかなり高い印象があります。(赤色:平均値の20%以下 青色:平均値の20%以上)
2022年度は過去の結果を見ても受かりやすい年度であったと思われます。
やはり難関の電験3種を合格した後に、続けて上を目指すために勉強する方が2種を目指す印象がありますので、その勤勉さがデータとして表れているようです。
こちらも3種同様に科目合格制度を利用しているため、最長3年での合格率になりますので、一発合格する方はこれよりもかなり少なくなるものと思われます。
科目合格制度とは 1年ですべての科目を取らなくても合格から2年間の科目合格持越しができる制度です。最長でも3年ですが、必要4科目を3年かけて勉強するということも可能です。
電験2種、1種は電験3種のように年2回ではなく、年1回の試験となりますので、猶予回数は、その年の試験も含めて3回となります。
2種一次試験 科目ごとの合格率
次に科目合格された方の科目ごとの合格率を見てみます。
(赤色:平均値の20%以下 青色:平均値の20%以上)
各科目をグラフに表すと次のようになります。
科目ごとの詳細な合格率の変動は別記事にて紹介しています。
電験2種になると理論科目のレベルが格段に上がり、合格率もかなり低いものとなっています(青いライン)
他の科目はその年によって難易度が大きく変動しているようです。
やはり3種よりも必要な数学力が上がる2種試験は、その理論を突破できるかどうかが一つの鍵になります。
2023年度は法規科目の点数が取り易かったみたいです。ひねりも少なく素直な問題だったかなと思います。
合格点数の変動は大きい
試験難易度によって調整が入る可能性がある合格ライン。
※ 2009年~2014年は換算値の直近上位を採用しています。
通常は60%の(54/90)点なのですが、年ごとにかなりの頻度で合格ラインの調整が入っていますが、近年6割の54点に近い点数になっています。
社会に必要とされている人数を調整しながら合格者を出していると思われるため、このような調整の上で合格者数を調整していると思われます。
もし60%の合格ラインに達していなくて、試験難易度によっては合格する可能性もありますので10月中頃の合格発表をお待ちいただければと思います。
電験2種二次試験の合格率
次に電験2種の難関と言われる二次試験について見ていきます。
2次試験の内容と受験資格
電験2種の二次試験は完全記述式になっています。
科目は一次試験と違い、電力管理120分、機械制御60分の2科目構成になっています。
二次試験は一次試験と違い科目合格はありません。
また、合格ラインは2科目合計の60%正答できれば合格なのですが、それぞれに足切り点数が定められ、どちらかがそれ以下であると、不合格になってしまいます。通常その足切り点数は二次試験受験者の科目ごとの平均点と言われています。
二次試験の受験資格としては、一次試験を合格していることが条件なのですが、一次試験の合格有効期限はその年を含めて2年です。
2回のチャレンジで合格できなければリセットされ、もう一度一次試験からチャレンジすることになります。
二次試験の合格率と合格点、足切りラインの推移
電験2種二次試験の合格率と合格者数をまとめたデータです。
グラフにするとこのようになります。
二次試験だけで見ればおおよそ17%程度の人が合格していることになります。
近年は若干ではありますが、高めに推移しているようです。
ただ、そうは言っても合格率は近年かなり振れており、二次試験の試験難易度の違いによるものが見て取れます。
ただ、その中身は選択問題の構成にも寄るため、一概に簡単な年とは言えません。
難関の一次試験を突破した実力を持った人の中からたった17%と考えると、その難易度の高さがわかるようです。
また、二次試験でも合格ラインの調整は入るため、その推移も掲載しておきます。満点は180点です。
基本合格点数は満点の6割の108点、ほぼ例年のように合格基準点の調整が入っておりましたが、近年は少し安定傾向です。合格には108点必要、と考えておいた方が良さそうです。
年度によりけりですが、大きく調整が入ることがあるので諦めずに2月初旬の合格発表を待ちます。電験はその勉強が実務につながることも多いため、能力を維持できるといいかなと思います。
一次試験と二次試験をあわせた合格率とまとめ
電験2種全体の合格率を掲載しておきます。
単純に一次試験合格率と二次試験合格率を計算すると、過去のデータから、平均6.4%の合格率となります。
グラフにすると次のように推移しています。
これだけでも低いと思うのですが、電験2種は電験3種の上位互換資格です。
多くの人が電験3種取得後、2種の取得を目指すのですが、合格率1桁%を勝ち抜いた中で、さらに上を目指し勉強を続けた人の中での6.4%と考えるととても厳しいものを感じます。
ただ、それだけに取得者は確かな実力を持ち、尊敬される技術者であると言えるのではないでしょうか。
持っていれば就職にも転職にも困らないと言われる電験2種。
かなりの難易度になりますが、電気の世界で仕事するために必要な知識がたくさん詰まっています。
興味を持って勉強していただくことで、より頭に定着しやすく合格につながるので無いかと思います。
科目ごとの詳細推移と合格率についてはこちらで紹介しています。
コメント
初めまして。
というか、Twitterではいつもお世話になってます(^ ^)
興味深いブログ書かれてますね。
時々見させてもらいます(^o ^)
一つ思ったのですが、平均点って公表してるのでしょうか?
公表してないなら、例えば昨年の問題なら機械制御で手応えがあっても不合格なら、電力管理で平均点以下だったと自己判断するしかないのでしょうかね?
ソウケイさん
コメントありがとうございます^^
電験二次試験の合格点は公表されていますが、平均点は公表されていないんです。
仰る通り、問題の難易度から平均点を推測し、自分の点数も解答から推測するしか無さそうです。
論説問題の点数が読みにくいため、想像もしにくいところがあります^^;