エネルギー管理士試験電気分野に必要な経験と電験3種の関連性

エネルギー管理士

こんにちは、はっちです。

2022年のエネルギー管理士試験が7月末に実施され、9月16日に合格発表がありました。

エネルギー管理士試験は例年熱分野の方が易しいと言われていましたが、近年その差は詰まってきていました。分野別の合格率などは別記事で紹介していますのでそちらを参考にしてください。

最新[熱・電気]エネルギー管理士試験の分野別の難易度と合格率の違い
難しいと言われるエネルギー管理士試験の電気、熱の合格率を調べてみました。年ごとの合格率の推移を見ていると近年では熱も電気もどちらも合格率が近くなってきています。

この記事では電気界の登竜門でもある電験3種との関連性や、試験以外の取得方法、必要な実務経験について紹介したいと思います。

エネルギー管理士試験(電気)の合格率

まずはエネルギー管理士試験(電気)の合格率を見ていきたいと思います。

近年の合格率はグラフにすると次のようになっています。

2013年以降、分野別の合格率の公表がありませんので、こちらで調べた結果になりますので、多少の誤差は含んでいると思ってください。

電験3種の合格率である約8%に比べると比較的高めを推移しています。

電気分野でも20%以上も合格するなら簡単なのでは?

電気分野の難関資格と言われる電験3種

合格率は2年の科目合格猶予措置を含めても8~10%とかなり低くなっています。

[最新]電験3種の合格率・合格点数の推移を科目毎にまとめてみました
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それに対してエネルギー管理士は同様に科目合格猶予措置付きで20%の合格率ならそれほど難しくなさそうと思うかもしれません。

ですが実際に出題される問題はかなり難しく、よく言われるのがエネルギー管理士は電験2.5種だということ。

電験2種の試験ほど難しくないが、3種試験よりは難しい。そんな位置づけのようです。

ただ一方で、そう言われるぐらい電験とエネルギー管理士の電気分野は出題範囲が近いものがあります。

電験で勉強した範囲が出題されるのであればかなり有利ですよね。

エネルギー管理士(電気)の試験科目

エネルギー管理士試験で求められる試験は、

熱・電気共通科目である課目1(法律とエネルギー情勢、熱・電気基礎) 80分

電気の基礎 課目2(電験では理論+機械(自動制御と情報)) 80分

電気設備及び機器 課目3(電験では電力+機械(変圧器・電動機など)) 110分

電力応用 課目4(電験では機械(電動機応用+電熱・電気化学・照明)+空気調和) 110分

電験の課目で当てはめると電力と機械がメインとなります。

課目1については、エネルギーの使用の合理化に関する法律(省エネ法)についてと、電気、熱分野の基礎的な問題が出題されます。課目1は新たに勉強が必要です。

3種合格の力があれば、エネルギー管理士の課目2,3程度は比較的少ない勉強で取れるかもしれません。

課目4は難関と言われている電力応用。3種より問題の難易度が高く、そして2種一次試験で出題されにくい、送風、電熱、電気化学、照明、空気調和での計算問題が多く出題されます。

4課目中3課目が電験と似たような範囲であることからこのように言われていますが、2.5種であることは忘れてはいけません。

中には2種の二次試験で出題されそうな問題も出題されるため、難易度は非常に高いと言わざるを得ません。

※ ただ、エネルギー管理士試験は大部分が選択問題な上に、そこまで知識がいらなくても、問題の誘導に従えば解けてしまうものもあります。

3種より難しいのに3種より合格率が高いのはおかしい?

はっち
はっち

ですよね。(コラ)

逆転現象が起きている理由として、電験3種とエネルギー管理士の知名度の違いがあります。

電気の世界ではいつか到達したいと思う電験3種。

応募資格でもよく見かけるため知名度も高いのですが、エネルギー管理士はまだ歴史も浅く、知名度もそれほど高くありません。

電気の世界でのし上がっていくためには電験3種は必要!と会社から斡旋されることはあっても、エネルギー管理士を勧められることは少ないでしょう。

一方で、熱分野においては、コレさえ所得しておけば大丈夫!という資格として挙げられるかもしれません。電験3種という一つの大きな壁がその先のエネルギー管理士を見えにくくしているのではないでしょうか。

また電験2.5種と言われるように、電験3種を取ってから。または並行して取ろう。

そう思う人も多いのでしょう。

3種クラスの実力の持ち主が受験して20%程度の合格率。

と考えると、かなりの難易度に跳ね上がることがわかります。

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エネルギー管理士免状取得のための実務経験

エネルギー管理士を受験するために必要な条件はありません。

ただし、エネルギー管理士の免状をもらうためには、1年間の実務経験が必要です。

その実務経験とは。

エネルギーを消費する設備及びエネルギーの使用の合理化に関する設備の維持並びにエネルギーの使用の方法の改善及び監視をいいます。(引用:省エネルギーセンター)

今見ているあなたが、電気主任技術者として選任されていたり、ビル管理業として働いているのであれば実務経験としては問題無いでしょう。

エネルギーに関する仕事であれば良さそうですが、設計業務や工事監理業務は実務経験に含まれないようです。

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エネルギー管理士を講習で取る方法もある。

エネルギー管理士は試験ではなく、講習を受講することでも取得することができます。

ただし、講習の最後には効果測定(試験)が待っており、そこで一定の成績を収めないと免状はもらえないようです。

はっち
はっち

噂では50%の合格率とか。

研修費用70,000円払って、一週間かけて講習を受けて50%の合格率とか、かなり厳しい感じがします。

やはり簡単には取得できるものではなさそうです。

エネルギー管理士が必要な人

エネルギー管理士資格は、昨今の省エネルギー推進に係る重要なポジションの人を会社に配置しなさい。

ということで法で設置が定められています。(とってもざっくり)

 

もう少し詳しくすると。(汗)

製造業、鉱業、電気や熱の供給事業者など主にエネルギーを多く使う(発生させる)場所で必要とされ、一定以上エネルギーを消費する施設においても必要とされます。

こんな書き方をしてしまうと特殊な工場やエネルギー供給事業だけが対象かと思いきや、身近なところではコンビニ業界なども対象に入ってきます。

今後も省エネルギーは世界的問題として重要な位置づけであり、需要が高まってくるのは間違いありませんので、持っておいて損は無い資格です。

企業としても、エネルギー管理士を採用することで、企業活動にかかる光熱費が削減できる可能性がありますので、省エネルギーのプロフェッショナルとしても需要がありそうです。

省エネ政策としてエネルギー管理士としての重要性

日本はCOP21で採択されたパリ協定において、2030年までに2013年比で26%の温室効果ガスの削減を目標として掲げています。温室効果ガスの大部分を占めるCO2排出の80%以上はエネルギー起源であり、これらを削減するためにも省エネ政策をどんどん推進していかなければ間に合いません。

省エネ法に関わる範囲も法改正で広がりつつあり、エネルギー管理士の重要性は今後上昇してくるでしょう。

身を切る省エネも大事ですが、設備面で貢献できる道を探すというのもエネルギー管理士として大事な要素ではないかと思います。

まとめ

最後にまとめてみます。

・合格率だけ見ていると痛い目をみるぐらい難しい。

・電験3種の勉強と並行もしくは合格後に受験するのが効率が良い。

・受験に必要な経験は無いが免状取得には実務経験が必要。

・講習で取得することもできる。(要実務経験)

・今後エネルギー管理士の需要はより高まってくる

調べてみるとやはりその難易度からも、エネルギー管理士取得には一筋縄では行かないということがわかりますが、試験で問われる内容は実務に応用しやすい内容になっています。合格率の高さも勉強のしやすさを表しているものと思われます。がんばればより電気について詳しくなれる試験です。がんばってください。

それでは^^

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