アベンジャーズ解答速報作成者目線の電験3種試験レビュー令和4年度下期

電気主任技術者試験(電験)

こんにちは、はっちです。

年2回の試験になった電験3種試験。

今回は解答速報(カフェジカアベンジャーズ)として、解答作成に協力させていただきました。

その中で、

今回の試験の難易度は例年に比べてどうだったのか?

合格ライン予想は?

受験していない科目の状況など気になる方もいらっしゃるかと思いますので、レビューという形で、印象的な問題も併せて紹介したいと思います。

一般財団法人 電気技術者試験センター
掲載の問題の詳細は試験センターから確認することができます。

2023年下期の電験3種の難易度はどうだった?

まずは、全体の難易度などから伝えていこうと思いますが、一言でいえば、

勉強の成果が出やすい問題が多かった。

という印象です。

捻りのある問題は少なく、素直に難しい問題が出題されました。

また、過去問からの流用も多くあったようですね。

それでは、科目ごとに見ていきましょう。

理論科目 標準~やや易しい

今までの形式だった令和4年度の上期とまた変わり、難易度の高かった令和3年度の形式に近い気がします。

具体的には、計算問題が主体だった令和4年度上期に対して、理論的な理解を試されている令和3年度。

今回の令和4年度下期はちょうどその間を言ったような感じです。

個人的な思いですが、令和4年度上期の計算問題主体の理論の合格率は高かったですが、これは問題が簡単だった、というよりは今までの問題形式に似ていたからなのではと思います。個人的にはそれほど簡単だとは思ってはいません。

今回の下期の問題は理論の理解力も試しつつ、計算量は少なくしつつという、やはりCBT試験(ネット試験)を意識した構成だと感じました。

難易度としては優しめ~普通といったところですが、それは電験3種の理論をベースにした話です。

やはり難しいことには変わりはありません。

合格点ラインとしましては58~60点と予想します。

印象的な問題 A問題 問10 過渡現象

思わず変化のついたグラフを選んでしまいそうになりますが、冷静に立式をすると単純なグラフになります。

ここに気が付けるかどうかですが、この冷静に立式という段階が非常に難しい。

アベンジャーズ内でも意見が出ましたが、その意見に納得。(←意見は自分じゃないw)

実力を図ることのできる面白い問題だと思いました。

答え (5)

電力科目 やや易しい

前半戦のA問題は計算問題と文章問題ですが、問題としては素直な問題が多い印象です。

計算問題は公式さえ知っていれば解けてしまう問題も多く、また、よく頭を悩ませる間違い探しの文章題についても非常に素直な印象です。

よくある電験3種の正誤問題では、

いくつかのキーワードが散りばめられていて、その中の一部が違う。

というようなものが多くあります。

ですが、今回の正誤問題では、全体が違う、もしくは文章の後半が違う。

といった分かりやすい正誤判定がされている問題が多い印象です。

一方でB問題は比較的難しい問題です。

ただ、この難しい問題と言っても、理解しやすい問題であるといえます。

言い換えれば、ここでも勉強の成果が出やすい問題です。

B問題が取れるかどうかは、知識と演習量によって大きく変わるのではないかと思います。

合格予想ラインとしては60点です。

印象的な問題 B問題 問16 受電端電圧の調整

この問題は電験3種でありながら、もう少し難しくして、記述式にすれば2種二次試験で出題されるような問題です。

だからこそ、この先を目指す人には理解してほしい問題であるといえます。

一方で何を言っているのか意味が分からなかった人も多かったのではないでしょうか。

電力系統よりの問題であり、難易度も高いですが、理解することで2種が見えてくる問題でもあります。

答え (a)  3     (b)  2

機械科目 標準~やや易しい

機械科目も電力と同様に、ひっかけや、いやらしさの少ない問題が多い印象です。

計算問題も、文章問題もどちらも素直で、正誤の判定も電力と同様、間違いを隠そうとしていない(この表現がいいのか悪いのか)ので、A問題はしっかりと機械の仕組みを理解していれば解ける問題が多かったのではないでしょうか。

ただ、一方でB問題は比較的受験生が苦手とする範囲ばかりではないかと思います。

出題された周波数応答にインバータ回路については、理解までに時間がかかり、選択問題の照明と情報処理は勉強時間が短くなりがちな範囲です。

特にB問題の問15(a)(b)は焦っているとあっさり間違えます。

冷静に立式して、数値を代入するなどを行う必要があるため、この問題が解けるような人は、おそらく合格ラインに達している人だと思われます。

情報処理はまさかのフローチャートでした。内容は難しくなくとも、除外してしまう人が多いかもしれません。

選択問題としては頻出問題が出題された照明を選ぶのが良かったのではないかと思います。

合格予想ラインは60点です。

印象的な問題 B問題 問16 単相ブリッジインバータ回路

インバータの問題なのですが、メインは過渡現象。

理論分野と機械分野の理解を試す良い問題なのですが、受験生は面食らった人も多かったのではないでしょうか。

答え(a)   2    (b)   2

法規科目 難しい

最初の問題から出鼻をくじかれるような200万kWパワーの高難度問題が出題され、そのあとも離隔距離の判定や種別の判定といった、覚えにくい箇所からの出題が見られました。

ただ、一方でそれほど難しくない問題も出題されており、さすがに激ムズの令和4年の上期よりは難易度は下がったと思われます。

ただ、その高難度問題の問1は、5000kW未満の発電の取り扱いができる3種の範囲を超えてしまっているような気がしますが、今後、このあたりの上限が撤廃される可能性があるのでしょうか。

B問題についても難易度は高いままです。

問13の中性点非接地配電系統の問題については、この絵を見た段階であきらめてしまう人も多いかもしれませんが、頻出問題なうえに問題の中で解答への誘導もされています。

冷静に考えて問題に取り組み、正答したいところです。

合格予想ラインは58~56点ぐらいと予想します。

印象的な問題 B問題 問12 変圧器の更新

問12も難しい問題でした。そのままエネルギー管理士試験(電気)で出題されてもおかしくない問題です。

ですが、こういう実務的な問題は面白いですよね。変圧器は24時間運転しているものですので、使用状況に合わせた負荷損、無負荷損の機器を選定することも変圧器の省エネ化には重要です。

答え  (a)   5    (b) 3

令和4年度下期の電験3種の問題を振り返って

全体的に易化した印象はありますが、易化したというよりは、

解きやすい問題になった。

という表現が正しいかもしれません。

勉強した知識量がそのまま試験の点数に反映されるような出題になったかと思います。

今まで、重箱の隅をつつくような文章が含まれていたり、ひっかけのような表現が使われているところもありましたが、今回はストレートに難しい問題が出題されたのではないかと思います。

また、過去問から出題されているものも多かったようですが、正直試験の難易度に変化があるとは思えません。

そういう意味では、やはり簡単な試験ではないことを実感します。

今回、合格率は上がると思いますが、電験3種の価値が下がるわけではありません。

電験3種を必要とする仕事は、これからが重要です。

資格を取ることが目的とならないように注意していかないといけませんね。

アベンジャーズ速報作成は試験と違った緊張感

今回、カフェジカ電験3種解答速報アベンジャーズとして回答作成に協力させていただきまして、

皆で回答を作り、分からないところは検討する。

という体制で順次回答を作っていくのですが、

他の人の回答状況を見ながら、補完するように各々が動く体制は見ていてすごいですね。

すごい勢いで難問が解かれていきます。

1問間違えてしまいましたが、短時間での解答作成においてあの問題は非常に悩ましい問題でした。(自分もひっかかった汗)

ただ、同じような状況(だと思われる)の中でもオーム社の解答速報はしっかり正答を選ばれています。

やはりさすがですね。まだまだ電気は勉強が必要です。

こういうことをネット上だけでやれてしまうのもすごいです。そのためにスプレッドシートの作りこみも大変だったかと思います。

私は遠隔で参加するだけですが、そのための準備、当日の仕切り、状況に合わせて動く必要があるため、運営側は大変だったかと思います。

カフェジカ解答速報運営様、当日は大変お疲れさまでした。

多くの人の力、励みになればと思います。

今後ともよろしくお願いいたします。

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