令和6年電験1種一次試験2回目の受験体験記(理論)と合格ライン予想

電気主任技術者試験(電験)

猛暑日が続く夏の盆明けに実施された、2024年電験1種、2種、3種一次試験。

とにかく朝から暑い上に、会場もかなり暑く、汗が垂れるような状態での実施でした。

今回も、各科目の冷静になった後での感想と、打って変わって、後半は受験時の心臓バクバク状況をリポートしたいと思います。

電験1種 理論の冷静な感想(A問題)

まずは冷静になってから、改めて見た問題の紹介と予想難易度です。

時間との勝負の理論。

時間内に解くことも難しいのですが、そもそも手が出ないぐらい難しい問題も出るかもしれないという緊張と戦う理論科目です。

試験の問題と解答 | ECEE 一般財団法人電気技術者試験センター

理論科目は朝9:15から10:45分までの1時間半で実施され、A問題4問(40点)、B問題2問(40点)の計80点満点で6割取ることができれば合格です。

問1 三重同心円のコンデンサ 難易度3

穴の空いた同心円に負荷された電荷による電位、電界の状況がイメージできていないと難しい問題です。

令和6年 理論 電験

電験3種に限らず、高校、大学でしっかり電磁気を勉強してきている人は強そうな感じです。

聞かれていることは普通のことですが、やはり1種。難しくひねられています。

問2 円形コイルの作る磁界の問題 難易度3

一見難しそうな問題ではありますが、数学用語(?)が分かっていれば選択肢が絞れてしまう問題です。

計算すると難しいですが、最後までやらなくてもいいということに気が付けるかどうかは、やはり慣れでしょうか。

問3 ミルマンの定理を考える直流回路 難易度1

ミルマンの定理がどう考えられているのかを解く問題です。

分かりやすく解説されていて、おぉ、そういうこと?という勉強になる問題でした。

こういうところが電験1種ですよね。

問4 直流電源を用いた過渡現象 難易度2

ぱっと見、簡単そうな内容の過渡現象ですが、途中で一ひねり入っています。

定常解と過渡解を用いて解くように誘導されているため、ラプラス変換のみを勉強した人は厳しい問題です。

冷静に考えれば行けそうな問題も、\(i(t)\)の扱いなどで迷わされます。

1種理論(B問題)

ここからが本番です。なんせ1種一次試験のB問題は、2問で80点中の半分の40点の配点があります。

B問題で満点が取れれば、残りの4問で8点取るだけで合格です。

1種一次試験はどの科目も、B問題の配点が40点あるため、B問題の出来が合否を決めると言ってもいいぐらいです。

三相交流回路の高調波電流による電圧ひずみを求める問題 難易度2

例年の三相交流問題に、電流源である高調波電流が加算された回路・・・と思いきや、高調波電流に関する問題です。

途中に書いてある複雑な高調波電流の計算式はほぼ使わず、また例年の三相交流回路の計算も用いません。

冷静に問題文を読み、穴埋めすることでいくらか点数は取れるかと思いますが、それが本番では難しい。

高調波電流に関する知識が必要になってきます。

問題難易度としては2としていますが、本番難易度としては4か5です。

本番では問題を解くのとは別の難しさがあります。

選択問題 問6 円電流が作る磁界を通る電子の運動 難易度4

難しそうな電磁レンズの問題で、非常に問題文が長いのですが、1種受験者からすれば、問題文が長いのはヒントがたくさん。と考える人が多いです。

条件が多く、近似式も多いため、整理ができればある程度解けそうな問題ではありますが。短い時間の中でその整理をすることができるかどうかが問題です。

問題数が少なく勘違いによる失点は避けいたいところです。

問7 MOSFETを用いたソース接地増幅回路の問題 難易度2

3種以来久しく見ていなかったトランジスタの特性を表すグラフが出てきました。

これを覚えているかどうかが問題選択の分かれ目になりそうです。

問題自体は知っていれば難しくはありません。(どの口が言っているのか・・・)

1種一次試験 理論の冷静になってからの感想

ということで全体の問題の感想は以上です。

やはり初見〇しといいますか、見たこともない問題にどう対処するか。

また一方で、問1のコンデンサや、問6のトランジスタ。また問5の高調波電流も扱いを知っていないと門前払い。という感じもしました。

個人的な感想としては、難しいと思ってしまいますが、解くための知識さえ知っていれば、冷静に考えると難易度は高くありません。(あくまで冷静に見れば・・・です)

 

さて、そんな問題でしたが、メンタルよわよわの管理人の当日の状況はどうだったでしょうか。思い出しながら見ていきます。

電験1種一次試験 理論の管理人の様子

前日からどきどきしていましたが、あまり眠れないのはしょうがありません。

そして、一次試験は朝一が一番の難所の理論科目。

そんなことを二年前にも言っていた気がしますが、また戻ってきてしまいました。(くぅ)

そして、2回目だから落ち着ているかというとそんなことは全くなく、焦りと緊張と汗にまみれて試験開始を迎えました。

とにかく暑かった。

そりゃ、部屋を開けると同時に、全館一気に冷房かけても効きませんよ。

おそらくセントラル空調方式のような感じでしたので、熱源に近いところから冷えてきたかもしれません。

そんな部屋の暑さからか、昼からの科目では熱中症対策のために机の上に飲み物を置いても良いことになりました。電験の試験では異例ですよね。

ということで、あっついなと思いながら理論開始です。

問題は取り組んだ順番通りにいきます。

1問目 B問題 問5 三相交流電流源の高調波問題

時間の無い理論は配点の高いB問題から取り組むべき。

その方が落ち着いて問題に取り組めるはず!

そう信じ、A問題を確認せずにまず最初にB問題を見ます。

はっち
はっち

さぁ、B問題はなんだ、過渡現象かな?不平衡三相交流かな?(定番)

問題のページを開く。図を見ると三相交流だが。。。やるか。

あれ?電流源?

そして下に見える高調波の長い式。

はっち
はっち

は?

ちょ、ちょ、何させられるの。こんな複雑な計算落ち着いてできるわけがない。

でも配点20点問題。

きっと解かないと合格はできない。やるしかない。

問題文を読む。

問題「抵抗Rで構成されている結線の方式は?」

はっち
はっち

・・・え?Δ?見たまんま?

そんなわけない、1種だぞ。

高調波発生源から見てとか、デルタースター変換するようなこととか書いてあったかな?

問題文を読み直す。

いや、そのままだ。\(\Delta\)(デルタ)。ナニコレ。

そして続く長い式をどこで使うのかとびくびくしながら問題を進めますが、使わない。

(解析する際は使うのでしょうけど、試験中はそんな時間ありません。)

問題に書かれている通りに進める。

等価回路を作ると、ただの高調波電流の問題。

ただ、条件が漏れているかもしれない。大丈夫だろうか。見落としは無いだろうか。

問題については終わったらじっくり解析したいところだけれど、次に行かないと。

2問目 問6の電子の磁界問題か7のMOSFETか?

問6、問7のどちらも問題文が長いが、MOSFETはグラフの使い方が分かれば行けそう。\(\frac{\Delta I_D}{\Delta V_{GS}}\)もあるということは定型通りな感じ。

いけそう。こっちだ。

よしよし難しくないぞ。

おっけ。これで多分大丈夫だろう。

単位ミスってボコられたのは後の話。

気持ちに余裕ができてきた。さぁ、次はA問題だ。

細かい点数を稼ぎに行こう。

3問目 A問題 問1 同心円のコンデンサ問題

ぱっと見た感じ、よく見かけるような問題だな。

はっち
はっち

うーん、・・・は?

まじか。分からない。

目星はついても基本をきっちりしっかり押さえていないと自信が持てない。これはつらい。

最初に問1を選んでいたら、動揺で心が破裂していたかもしれない。

とりあえず適当に選んでおこう。

4問目 問2 円形コイル問題

見た目に面白そうだけど、複雑な計算式が書いてある。

マクローリン展開。はるか昔にやったな。トオイメ( ゚Д゚)

よくわからないが、問題文の指示通りに進める。

できた。できてしまっていいのか。これも最初からやっていたら焦ってしまいそう。

5問目 問3 直流電源回路

回路図を見てミルマンの定理を使う気満々で臨んだら、ミルマンの定理について考える問題でした。

最後の最大電力を求める問題で、抵抗\(R3\)と同一になるとき。

と書いてあるにもかかわらず、一生懸命導こうとしたのはここだけの話。

そしてミスる。何をやっているんだ。

6問目 問4 直流電源の過渡現象

一見単純そうな過渡現象。

ラプラス変換で解くのではなく、定常解と過渡解で解くように指定がされているため、どちらも解けるようになっておかないといけないことが少し気になる。

ただ、(2)の問題で混乱する。

最終形は分かる。それにどう近づけていくか。

ある程度点数は固そう。

 

全ての問題を見終えて、残り時間は15分程度。

分からない問1を再度考え直す。

だが、整理ができず確証が無い。どうする。類推するしかない。

幸い、答えは3択まで絞れる。

適当に選ぶが、どれか当たるだろうか・・・

 

時間になりましたので、解答を止めて筆記用具を置いてください。

ふーっ

どうだろう。

最初に解いた問5の三相交流負荷の高調波電流問題が不安すぎる。

できているようで、勘違いで一気にやられる可能性もある。それも最初に解いたから、ミスや条件の見落としがあるかもしれない。20点問題でそれは厳しい。

いや、終わったことは仕方がない。次だ電力に行かなければ。

電験1種理論科目に合格ライン調整はありそう?

最後に得点調整の可能性について見ていきたいと思います。

理論科目は過去に得点調整が入り(34/80点)という、やり過ぎた得点調整が入ったこともあります。近年の(2019年)では39点などもありました。

ただ、そういう時は大抵、とんでもない計算をさせられ、さらに選択肢が数字のみ。

という分からなかった場合、ヤマカンでも選びようのない出題方法がされています。

今回はそういう問題は無く、なんだかんだ本番での難しさはあっても、考えることができれば15択ぐらいから3択程度まで絞ることができます。

一方で、その選択肢にはしっかり間違えやすい選択肢が用意されており、そちらを選んでしまう人も多かったのではないかと思うような構成でした。

そういうことからも、合格ラインは48点~46点と言ったところかなと思います。

 

次回は2時間目、3時間目の電力・機械編です。

(1,理論編、2,電力・機械編、3,法規自己採点編と続きます。)

令和6年度電験1種一次試験(2回目)レビューと合格ライン予想 電力・機械編
こんにちは、はっちです。 こちらでは、前回の理論からの続きで電験1種一次試験の受験体験記を記事にしています。 今回は電力・機械編です。 ただ、前回の理論科目と違い、時間的に余裕があり、それほど精神的に...

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