誰でもわかると言われている電験3種の参考書はどれだけわかりやすいのか

電気主任技術者試験(電験)
はっち
はっち

こんにちは、はっちです

今回は、「誰でもわかる電験参考書」をレビューしてみたいと思います。

とにかく独学で勉強しているとつまづくことの多い電験3種。例えば、

電線と地面との間には電気が流れています。

とか言われても意味がわかりません。

自分も相当苦労しましたが、苦労したということは、やはり非常にわかりにくい分野、イメージがつきにくい分野が多いというのが挙げられると思います。

そんな内容が多い中、「誰でもわかる電験参考書」と名打つのは相当勇気がいります。期待したいと思います。

レビューをすることになった経緯

実際にレビューに入る前に、レビューをすることになった経緯について少しだけ話をしますと、今回のレビューは「誰でもわかる電験参考書」(以降:誰電さん^^;)

参考書のレビューをしていただけないでしょうか?

とお話しがありました。

最初は「なんで自分なんだろう?」と思いましたが、どうも、「第2種電気工事士もわからない状態から~」というくだりが目を引いたようです。

実際には、電験の勉強を始める段階において、第2種電工よりもずっと前のマンガで覚えるシリーズから始まっていますが^^;

勉強なんて十数年していなかった管理人が電験を取るきっかけ
見に来ていただきありがとうございます。ピカチュウをゲットするために電験ゲットだぜ! の管理人をしておりますはっちと言います。(違う) えっと。学びなおしの40歳からの電験取得Ele-conブログに来て...

そんな人から見て、参考書のレビューをしてほしい。ということでした。(←本当は「そんな人」なんて言い方していません。すごく丁寧にお願いいただきました^^)

なんだか面白そうだったのと、誰でもってどんなもん?というのが気になったので引き受けることにしました。

ちなみに、お金は発生しておりません。なので好きに書かせていただきます(悪w)

参考書のレビューにあたっての注目点

まず、参考書をPDFで受け取ったときに感じたのは、多っ!でした。

ページ数は多いもので1科目800P超え(理論)。

はっち
はっち

マウスのホイールスクロールでは横のバーが全然動きません

分厚いなと感じる参考書でも、おおよそ400Pほどです。

相当な量であることがわかります。それだけ分かりやすく詳細にということでしょうか。中を見ていきレビューしていきたいと思います。

 

今回レビューするにあたって注目点としては、やはり自分が勉強したときに、とても苦労した点が解消できるかというところが非常に大きいです。

特に社会人なので、モチベーションの維持が重要だと考えています。

そのための、読みやすさ、わかりやすさ、イメージのしやすさなどを中心に見ていきたいと思います。

読みやすさ

読みやすさについては非常に重視しているように思います。

例えば次のようなインピーダンスの項目ですが、

インピーダンスの解説の個所なのですが、必要なことのみの説明に収められています。

本来インピーダンスとは、と書き出してしまうと下記のように書きたくなってしまいます。

インピーダンス(英: impedance)は、電気回路の交流回路においてある部分を流れる電流に対してその部分に加わる電圧の比を表す。

直流回路におけるオームの法則の電圧降下が電気抵抗(レジスタンス)によるのに加えて、交流回路におけるコンデンサ(キャパシタ)、コイルによる電圧降下を加えたもので、複素数で表される。単位はオーム(単位記号はΩ)が用いられる。

※wikipediaより。

確かにこういった説明は後からでいいんですよね。

まず最初はインピーダンスについての正しい理解よりも、ざっくりと理解して問題が解ければいいんです。その方が躓きが少なくなります。

いきなり難しい用語の説明を省いていることがすごいなと思います。

 

また難しめの分野として、電力分野、「水車の比速度」を例に見てみます。

次のように最初に一般的な用語の説明をし、

とした後、

と続き、そのあと、比速度の説明に5ページも使用しています。(例題含む)

参考書によっては1ページも使わない比速度の説明ですが、どうしてペルトン水車なのか、低落差が有効な理由は、など暗記ですませてしまうようなところをしっかり説明していただいています。

文字の間隔も広くとっていただいているので、さくさくページが進みます。

注釈の助け

また、次のような注釈が細かくついているのが助かります。

この注釈は機械分野の注釈なのですが、理論の範囲で説明した位相差について、再度機械分野で出てくる場面です。

忘れていそうな内容について、助けてくれる注釈があると、読み進める時に「戻る」という作業が発生せずにモチベーションが下がりにくい工夫がされているように思います。

問題の解説

問題の解説についても工夫されているように感じました。

例題として次のような問題が与えられているときに。

続く解説で。

以下、式変形が続きますが、注目すべきはココかなと思います。

赤枠で囲った部分ですが、こういう配慮がすごく助かります。

いや、問題文に書いてあるんですが、

意味が分かっていない初期の段階だと、問題文が何を言っているか分からないんですよね。

はっち
はっち

何か%がいっぱい出てきたぞ

みたいな。

敢えて抜き出して記号の解説を入れてくれるのはすごく理解の助けになります。

また、解説で出てきた公式などを利用するときに、再度公式を掲載してくれるのも、いちいち前のページに戻る必要が無いので助かります。

この辺りは電子書籍の強みですね。本にしてしまうといたずらにページ数が多くなってしまうため携行性が失われてしまいます。

電験の参考書の悩ましいところはこういうところですよね。

わかりやすさ

読みやすさでも少し紹介しましたが、比速度のようにわかりにくい、イメージしにくいものを詳細に説明していただいています。

個人的にさっぱり意味の分かっていなかったモーターの回る仕組みについて

回転磁界を用いて説明してくれます。

はっち
はっち

固定子が回転ってどういうこと!?

と当時思っていた上に、結局わからん!となってしまったことを思い出します(汗)

わからないものシリーズ(笑)

例えば、交流電力で有効電力\(P\)と無効電力\(Q\)から求められる力率について、式だけで力率ってこうなるんだよ。

\[\displaystyle \cos{\theta}=\frac{P}{\sqrt{P^2+Q^2}}\]

ではなく、グラフを使って説明していただいていたり、

モーター系の難所である誘導機、同期機などにおいても、

しっかり図を用いて仕組みを説明していただいています。

非常に理解が難しいベクトルの進み、遅れについても、

とRL回路などを用いて電気の世界で用いられるベクトルの説明してくれています。

誰もが苦戦する法規

覚えるだけでいいかなと思う法規。

ただその覚えるという作業が膨大過ぎて無理です。

また法律という文章は非常に読みにくく、理解しにくいものとなっています。

様々な数値が出てきている上に、

これはこう施設してはならない。ただし~でないという場合は、その限りではない。という、

何回否定するの?

みたいな複雑な日本語と格闘し続ける必要があります。

それを、

分かりやすい文章で解説してくれています。これは助かります。

もともとが法律の文章なのでどうしても分かりにくい部分は出てきてしまいますが、原文をそのまま読むよりもはるかに理解の助けになります。

イメージのしやすさ

電気の関連は非常になじみが薄く、イメージすることができないのが一つの壁になっているかと思います。

現場にいるのであればある程度機器類には馴染みはあるかもしれませんが、それでも職場によって大きく偏りがあり、すべての機器を見たことがあるという人はほとんどいないのではないでしょうか。

特に発電所関係は厳しいですよね。ある程度割り切ってこんなものと覚えるのも大事ですが、その仕組みは理解しておいた方が良いものが多いです。

電験3種は覚えて解ける問題ばかりではありませんので、イメージを持って応用できるようになることが大事です。

わかりにくいイメージの説明

個人的にずっとよくわかっていなかった反動水車の原理。

ここで理解しました(ぉぃ)

なんとなく、通り抜けるときに回るんだろうな~ぐらいに思っていましたが、あ、だから反動なのね。衝動水車は。。。みたいな。

やはりわかりにくい個所にイメージ図があると助かります。

 

特に火力発電所の熱サイクルのところは良いですね。

なんとなく覚えているだけですが、よく見かける左図のグラフと実際の火力発電の仕組みが対応しており、どこでどこの機器が蒸気の圧力を上げるのかなどがわかりやすくなっています。(テキストではこの後、詳細な説明がなされています)

離れた電線と地面に電気が流れている?

冒頭で少し話をしました、電線と大地がつながっているという話。

はっち
はっち

いやいや、電線と地面とがつながっていないのに電気なんか流れるわけないじゃん^^何言ってんのさw

という内容。個人的にこの「充電電流」という考え方がさっぱり分かりませんでした。

普通に解説しようとすると、

はっち
はっち

導電性の電線と導電性の地球に挟まれていることになるから大きなコンデンサみたいになるんだよ。だから電圧をかけると充電電流が流れるんだよ。

となりそうですが、

いや、だから流れてないじゃん。流れてたら感電するし。いつも雷みたいなのが落ちてるの?

と自分なら返してしまいそうです^^;

そういうところもしっかり説明していただいています。

この充電電流の解説にも3ページも使っています。

科目ごとに横断的に解説される。

電験の勉強しているときに非常に思うことですが、4科目がそれぞれに関連してきます。

その中でも、電力と機械は発電機を通じて密接に関係するところがありますが、それぞれ必要な解説にとどめています。

理論が他の科目のベースになることは知られていることと思いますが、電力で出てくる発電所の説明の中には同期発電機や変圧器の説明もあります。

電力科目ではさらっと(ではなく詳しい個所もあり)解説して、詳細はメインの科目で解説するという構成ができるのは、やはり4科目を一人で作成しているメリットですね。

デメリット

メリット、デメリットとしてしまうと今まで挙げたものも、メリットでありデメリットであるということがありますが、やはり量が多いということでしょうか。

短時間で読み切ることは難しいかもしれませんが、法規などの読むことがメインの科目であれば、読んだ分だけ力になりますので、難しく考える必要は無いのかなと思います。

すぐに読める量ではありませんが、私のような読んでいるとすぐに寝てしまう人にとって、理解しながら読み進められるというのは非常に助かります。

PDFですのでスマホやタブレットなどに入れて、通勤の時間でも少しずつ読むだけでも大きく電気の力が付くことと思いますし、文字を細かくしていない当たり、そういう配慮もされているのかなと思います。

最後になってしまいましたが、この参考書は専用ページから購入することができます。

Just a moment...

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電験3種の4科目だけでなく、より詳しい入門書だったり、過去問参考書だったりと色々作成されています。

amazonでも販売されていますが、Kindle版ですのでご注意ください。

電験3種を勉強していて前に進めない方、モチベーションが続かない方など一度試してみてはどうでしょうか。それでは!

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