合格率10%を切る難関資格の電験3種がCBT方式に?
ということでパイロットテスト(試験の試験)に応募してどのような形になるのかを体験してきました。
場所はなるべく良い環境にならなさそうな地方のパソコン教室に設定。(失礼^^;)
実際に体験してきた試験の詳細を書く前に、まずまとめとを書いておきたいと思います。
それでは詳細を見ていきたいと思います。
CBT試験とは
CBT方式の試験は、Computer Based Testingというパソコンを利用して実施される試験方式で、試験がパソコン上で行われるため、環境さえ整えば色々なところで受験できるメリットがあります。
今までのように、大学に何千人も集めて一斉に始める。
という試験ではなく、パソコン教室のようなところで、何回にも分けて受験者毎に実施することも可能になります。(ただし自分のパソコンで受験できるわけではありません。)
受験者側にもスケジュール調整がしやすく、試験センター側にも大会場を押さえるという負担が減ります。
また、遠方の方などは、試験会場が増えることで自宅の近くで受験できる可能性もあります。
主要都市でしか試験がされないこともあるため、試験の度に宿泊するような方には朗報です。
現在のところ、全国200か所で受験可能になるようです。
一方でデメリットもありますが、そのあたりは試験当日の様子と含めてこの後話をしたいと思います。
令和6年度の電験3種CBT試験
電験3種令和6年度の試験日は以下のようになっています。
CBT試験:7月4日(木)~7月28日(日)
筆記試験:8月18日(日)
申込期間は5月20日(月)~6月6日(木)となっています。
CBT試験:2月6日(木)~3月2日(日)
筆記試験:3月23日(日)
申込期間は11月11日(月)~11月28日(日)となっています。
申込忘れに注意してください。
今のところ、CBTの試験期間は各々筆記試験の約1か月前からさかのぼって25日間に受験する必要があるようです。
今後CBT試験が本格化してきた場合、この時期に限らずいつでも受験できるようになると思われますが、現在のところ、CBT試験であっても年2回という制約は変わらないようです。
その代わり、ペーパー試験のように1日にすべて実施されるのではなく、ある一定の限られた期間(今のところ25日間)の中で、4科目、ないしは必要な科目を試験日、時間帯を選択しながら受験する必要があります。
既にCBTが浸透している簿記試験を受験してきました。こちらは、ほぼいつでも受験可能です。
パソコン教室で電験3種受験。CBT方式の流れ。
電験3種のCBT方式の採用に伴い、パイロットテストの募集があり、そこに応募したところ、見事当選、受験できることとなったことで試験の試験を体験することができました。
当選後は、決められた期間において、試験をどの会場で受験するのか、また日時をどうするのか?を選び、自分で申し込む必要がありました。
受験のスケジュールは自分の好きな時間に決められるわけではなく、試験会場毎に、CBT方式の試験が実施できる時間帯の中で選ぶことができるようです。
確かにそうですよね。パソコン教室であれば、平日の昼間は選択することができず、夕方、ないしは土日のどちらか。など試験会場の通常業務の都合によるようでした。
ですので、おそらく多くの人が都合の良い時間は早めに埋まってしまうと思われます。また、都心部などは激戦区になるかもしれません。
私の場合、そういうところが面白いかも?と中央都市から離れた都市のパソコン教室を選択しました。比較的自由に時間帯を選ぶことができましたが、これも時期によるのかもしれません。
申し込み完了後、日時、持ち物などが記載された申し込み完了メールを頂いて完了です。
この後、特に試験日まで連絡はありませんでした。パイロットテストだから受験票もないのかな?
と思いましたが、おそらくその代わりとなっているのがこの”完了メール”なのだと思います。
試験当日。パソコン教室での受験
試験会場であるパソコン教室には30分前に到着。
中に入ると壁に7台ほど仕切られたパソコンが並んでおり、受付の人が奥にいます。
道路との間には透明ガラス一枚。
この部屋で試験が実施されるようです。
受付で身分証明書の確認と申し込み完了メールを見せて受付をします。
筆記用具などの持ち込みはできない、との説明があり、スマートフォンの電源を切り、腕時計を外し、ポケットのものを全てカバンにしまい、席に着席しました。
目の前にはログイン画面のパソコンとボールペン1本、A4サイズの紙1枚。試験の注意事項が置いてありました。
他に持ち込める物はありません。(といっても足元のかばんに入れてありますが。)
渡された試験の注意事項を読んでいましたが、内容は電験3種用というわけではありませんでした。
読み終わって、手持無沙汰なのですぐ後ろにいる受付の人と気になることを話をしていました。
やはりこういうCBT方式って広まっているんですか?
そうですね。もう大勢を集めて一斉に試験っていう時代じゃ無くなってしまいましたね。
トイレって我慢できなくなったらその時点で試験終了になります?
どうしてもであれば言ってください。終了にはならないですよ。
試験時間の途中で終了して退出できますか?
それは自由です。時間帯などの制限はありません。
他にも受験者はくるのですか?
まだ何人か来る予定です。開始時間はできるだけ揃えていますが、実際にそろえる必要はなく、また、終わる時間も自由です。色々な試験の方がいますので、試験中の出入りもあります。受付もその都度行うので、ちょっと後ろ(受付)で話をすることもありますがご容赦ください。
今日、自分パイロットテストなんです。緊張感無く色々しゃべってすみません。
そうなんですか。こちらは試験の内容については知らされていないんですよ。今日も色々な方が受験されますよ。
そうこう話をしている間に次の受験生が来ましたので話を切り上げて受付してもらいました。
他にも3~4人ほど受験者がいましたが、どうやら電験3種の方はいらっしゃらないようでした。
さぁ。CBT方式の試験開始です。
試験開始は、画面に出てくる注意事項や操作方法を見て、自分で試験開始ボタンを押すことで、残り時間が進み始めました。
画面に映される問題。
ただ、1ページすべての文章は見えません。
(CBT画面の例:タッチすると大きくなります)
ちなみに、電卓はWindows標準の物を表示していますが、実際は専用の電卓ソフトを使います。
そして、次のページになるとこのような画面になるのですが、
このような画面とを行ったり来たりをしながら解答を選択しなければいけません。
問題文に図がついている場合や、問題文が長い場合、1画面に表示できませんでした。
マウススクロールで問題文と図をいったりきたりする必要があるため、かなり面倒です。
やりにくいなと思いながら問題を読みます。
問題を進めてみて新たなデメリットが出てきます。
問題が「誤りが含まれているものを選べ」なのですが、画面上にメモすることもできません。
正しいと思うものに〇をつけておきたかったり、怪しいところに線を引きたいのですが、それはできません。A4用紙にメモするしかありませんでした。
※ こんな感じで書きたいのですができません
また文章中に与えられた数値を図中に書き入れることもできず、かなり数値の整理にも、図と問題文をいったりきたりと時間を取られました。
※ 画像はイメージ こんな風に書けません。
自分が受験したのは機械課目でしたので、まだ計算問題も少ないのですが、理論などは大変そうだと思います。
だからこそのR3年の理論の出題形式なのかもしれません。(文章題が多い印象でした)
少し助かった点としまして、迷った問題があった場合、「後から確認」というチェックをつけておくと、問題一覧から、チェックをつけたものが分かるようになっています。これのおかげで、後で迷ったところを見直しする際などは助かりました。
また、A4用紙一枚と5本100円で打ってそうなボールペンが設置されていましたが、人によっては計算用紙が足りないかもしれません。その場合は、監督員の方に言えばいただけるようです。
他に、計算する上でルートなどを用いるため電卓が必要になりますが、電卓はパソコン上のものを使わなければなりません。ですがWindows標準搭載されたものはルートがありません。
ルートを多用する電験3種の試験では標準の電卓は使いにくくてたまりませんが、そのあたりはインターネットエクスプローラで動く電卓が採用されていました。電卓ボタンをクリックすると電卓が表示されます。ルートの他にM+やM-もありました。
やはりただ、マウスクリックでの操作(打ち込みはテンキーでもできるかも)は少し手間ですね。
電験3種試験でよくやる乱れ打ち(選択肢と似たような数値が出てこないかなと色々試すこと。byはっち)せこい。
がやりにくいです。そもそもやるな、という意見は聞きません(笑)
また、雑音が気になるかもしれません。
集中してしまえばそれほど気になりませんが、試験開始直後など、周りの音が気になる人もいるでしょう。
パソコン教室の場合、受付の人の声、受験者の出入り、外の車の音、歩道の話し声など、
大型の試験会場に比較するとはるかに雑音が多いです。
また、隣で受験している人の音も気になるかもしれません。
MOS試験などでしょうか。マウスのカチッ、カチッというクリック音が定常的に聞こえる状態は気になる人が多いのではないでしょうか。
また、今回のパイロットテストの最後(試験時間中)にアンケートの記入欄がありましたが、自分がキーボードでカタカタ打ち込む音が周りに影響しないかなと心配になりました。
衝立はあっても1mも離れていない間隔に他の試験の受験者がいることはしょうがないと思いつつも、今までの試験と比較するとちょっとショックを受けてしまいます。
電験3種CBT試験の難易度は?
難易度としては、平均的な問題から少し難しい問題という感じでした。
捻りのある問題も出題され、電験3種らしいなという感じを受けます。
今まで出題された問題から、分野ごとにランダムで出題されるという感じでしょうか。
なんてことができるのかなと思ってしまいます。そのためのパイロットテストと結果と考えることもできます。具体的に今年度の予想をすると、
と考えられます。おそらく今年度令和4年度の難易度は全体的に上がるでしょう。合格点数もおおよそ60%固定です。
最後に、試験問題はパソコン画面に出力されるだけで、試験後持ち帰ることなどはできません。そのため迷った問題など家に帰って復習しようとしても難しい点があります。
合格発表は即時発表
驚いたことに、試験終了後、すぐに合否がわかりました。
印刷画面が出力され、そこに、点数と合否がかかれています。
やっば(汗)←電験2種持ち
なにかひっかけ問題に多く引っかかった気がします。(言い訳)
得点見て、こんなに出来なかったっけ?と思いましたが、どこで間違えたかは手元に問題が無いのでわかりません。問題用紙は画面の中にしかなく、もちろん持ち出すことはできません。
見直しできないのはつらいですね。
合格ラインは60%固定の様子。試験内容によって変更するという感じではないです。
試験後はそっと退出
周りにはあとから来た受験生も多数いましたので、そーっと受付の人に会釈だけして退室しました。
1課目機械だけの受験でしたので、説明も含めておおよそ2時間程度で退出。
これ4課目受験する場合、一日で終わるのでしょうか。
そうでなければ、時間をずらせば1週ずつ受験することも可能かもしれません。
色々と対策がしやすくなるかもしれないですね。
問題の難易度、合格点の調整が無ければ、年2回電験3種の試験が実施されることで、単純に合格者数は2倍かそれに近くなるかと思われます。
電験3種 CBT試験のまとめ
ここで最初に記載しました電験3種のCBT方式に対するまとめをしたいと思います。
ただこういう表面的ではなく、表現ができない雰囲気のようなものを伝えさせていただくと。
基本、暗記物である試験は良いかもしれませんが、電験3種のような、初めて見る問題を試験時間中に思考して解く、というプロセスが必要な試験にはそぐわないのではないかと思わざるを得ませんでした。
ましてや合格率が10%を切るような試験です。10%をせめぎ合う試験では周りの環境が合否に対する影響が大きい気がします。
そして、それに対して、試験実施側が配慮してくれるかというと、
何の試験しているのかもよく知らない。
という会場側のノータッチ感も不平不満の元にならないか心配です。
今回のパイロットテストの最後にはアンケートが含まれていました。
その解答を受けて試験センター側がどのように変更してくるか、対応してくるかわかりません。
基本的にCBT方式で実施されるのであれば、その他の試験と一緒に実施される以上、大きな変更はできないのではないかと思います。
2022年度は通常通りの試験が年2回の実施になり、その後2023年度からCBT方式による試験の実施とされています。
受験者にとってできるだけ公平に試験が実施され、質の高い電気主任技術者が育つような環境になるよう願っています。
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