先日、合格通知の送付と共に、8月に行われた電験各種の合格率が公表されました。
今年は電験1種、2種、3種全てにおいて、合格ラインの調整はありませんでした。
ということは、平均的な試験結果だったのかな?と思いきや、そうでもなさそうです。
中身を見ていきたいと思います。
電験3種の合格率から見る令和6年上期の難易度
令和6年度電験3種科目ごとの合格率は以下のようになっていました。
電力:25.2%
機械:26.3%
法規:27.3%
機械科目と法規科目が難しかったような印象ですが、例年と比べるとそれほどでもありません。
電験3種科目合格率の平均(15年ほど)
電力:20.6%
機械:19.0%
法規:21.0%
科目毎で見ると、機械科目の合格率が一番低く、次いで理論となっています。
やはり、電磁気や力学、また情報、照明や制御と様々な範囲から出題される機械科目は合格率が低めになるようです。
法規は、近年、難しい年とそうでない年が激しく、最近は3年ほど易しめの年が続いています。
ここのところ過去問の出題ばかりでしたが、新作問題も見受けられました。
過去問が出題されるようになってから、合格率はかなり上昇していますが、合格者数は抑えられた印象です。
難易度としては、近年の平均から見ると、昔に比べれば易しくなっているが、最近の年よりは難しいという感じかと思います。
電験2種一次試験の合格率から見る今年の難易度
電験2種一次試験の科目合格率は次のようなっています。
電力:57.8%(平均57.7%)
機械:57.8%(平均52.0%)
法規:49.7%(平均58.2%)
電験3種と比較して電験2種試験の受験者はかなりの実力者が多いためか、合格率は科目合格と言えどもかなり高くなっております。
合格率だけ見れば、電力、機械が簡単で、理論、法規が難しいということになりそうです。
恐らく実際にその通りの難易度なのですが、ここまでくる実力者は電力、機械それに法規も実務を通して得意な方が多いです。
そのためか、比較的平均の合格率も高く、例年に比べると、法規が難しかったのでは?と思います。
理論が難しいのは相変わらずであり、電験1種、2種は理論をどう攻略するかが大事で、二次試験の攻略にもつながります。
比較的その理論が易しかったのか、全体の2種一次試験の合格者数も多めであり、一次試験全体の合格率は28.9%と3割程度となっております。
電験1種一次試験の合格率から見る今年の難易度
電験1種の科目合格率と平均合格率は次のようになっています。
電力:77.3%(平均64.5%)
機械:77.4%(平均54.2%)
法規:70.2%(平均60.9%)
飛びぬけて理論の合格率が悪い一方で他の3科目が易しい印象の合格率です。
ですが、平均点から見ると、機械科目だけが易しく、電力、法規科目は若干易しい程度です。
機械科目は三相ブリッジ回路などが出題されず、また、内容は難しいながらも色々類推できてしまう問題が多いことが合格率を上げたのかなと思います。
法規科目は特別高圧の出題が無かったせいで、合格率は下がると思っていたのですが結果は逆でした。
やはり低圧部分は電気に触れやすいからでしょうか。3種が遠い昔の自分にしてみると、かなり辛い問題が多かったです。
理論はやはり問1のコンデンサと問5の高調波の問題でしょうか。
問1のコンデンサの問題を解くにはは電位の考え方をきちんと応用できる人でしょうし、問5の初見〇しは短い試験時間の中で混乱してしまった方も多いのではないでしょうか。
ただ、この理論34.6%という合格率でも得点調整はありませんでした。
理論がこの合格率でも、1種一次試験全体の4科目合格者数が例年に比べてさほど減っていないからでしょうか。
令和6年電験1種一次試験全体の合格率は29.9%のほぼ3割です。
電験1種、2種、3種についてまとめてみましたが、電験3種では理解がしにくく、範囲の広い機械科目と文章だらけの法規科目が苦手なものに対して、1種、2種になると、機械科目も法規科目も克服しているのが見て取れるのが面白いです。
ただ、一方で、理論科目においてはどんどん範囲が広がっていき、微分、積分がふんだんに入ってくる2種。三相不平衡や高度な微積、半導体などからも出題される1種は変わらず難関であることがわかります。
どれも電気に関わる大事なことであるため重要ではありますが、試験の流れが学校みたいだなと思います。段階的にレベルアップが必要ですね。
それでは。
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